gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

劇団民藝『SOETSU 韓(から)くにの白き太陽』

2018-05-09 05:37:00 | ノンジャンル
 先日、神奈川県川崎市の麻生市民館にて、劇団民藝による『SOETSU 韓(から)くにの白き太陽』という舞台を母と観てきました。
 パンフレットから「あらすじ」を転載させていただくと、
「美学者・柳宗悦は雑器として扱われていた朝鮮白磁の美しさに魅了され、予感に突き動かされるように1916(大正5)年初めて朝鮮に渡った。浅川伯教・巧兄弟や宿屋の女将・美明珠と知り合い、宗悦は朝鮮の美にのめりこんでいく。名もなきものの営み。文化を育む土。おおらかなユーモアと生命力……。そして、失われてゆく民族文化のための美術館設立へ。しかし日本統治下の朝鮮では、宗悦の活動は統治政策の一環だと朝鮮の人びとに誤解され、さらに朝鮮独立運動や関東大震災時の痛ましい事件が、人々の間に亀裂を深めていく。
 様々な矛盾のなかから掴み取った一握りの確信が、やがて宗悦を日本での民藝運動の構想へと導いていく。」

 長田育恵さんのオリジナルシナリオで、演出は丹野郁弓さん、装置は勝野英雄さん、照明は前田照夫さん、衣装は宮本宣子さん、舞台監督は風間拓洋さん。出演は主演の柳宗悦を篠田三郎さん、その妻の柳兼子を中地美佐子さん、姜明珠を日色ともゑさんが演じていて、特に篠田さんと中地さんのユーモアにあふれた夫婦の会話、篠田さんの若々しい情熱を感じさせる演技に見応えがありました。登場人物はすべて(?)実在の人物であり、柳宗悦は1889年(明治22年)3月21日生まれ、1961年(昭和36年)5月3日に死去、享年72歳。戦後は一流の文化人として社会的にも評価された人だったようです。この演目は川崎市の芸術祭の一環として特別上演されたもののようでした。今後、各地でも演じられるものと思われますので、今回見逃した方も自宅の近所で上演されるようなことがあれば、是非足を運んでみてほしいと思います。

 またパンフレットにこの脚本を書いた長田育恵さんへのインタビューも載ってましたので、一部転載させていただきます。
・「ソウルはやはりエネルギーがある町だなと感じて。光化門も初めて見たんですけど、色彩の繊細さに驚きました。もう少し原色寄りの色使いを想像していたのですが、それより中間色というか、微妙なやさしい色合いをしていて。イメージしていたよりも、地面の底のほうにある韓国の素朴さというのを、感じることができたように思います。」
・「やはり土地というか、その人が生きてきた記憶みたいなものはとても切り離せないものだというのがあって。大体書く前に実際に自分でも景色を見に行くんですけど、主人公がどこへ向かおうとしたのか、どこを出発地点としていたのか、人が生きるビジョンのようなものが、原風景だったり、向かう先の希望がある風景だったり、実際に見える土地の景色の中に反映しているような気がします。だから、どうしても土地を基盤に人間の足元から考えていくことが、自分が書く根拠になるというか。」
・「(前略)書こうとしているものは大体共通していて、断層というか、何か時代が変わるところをクローズアップすることで、私たちが今どこにいるのかということを知りたいなと思う傾向があります。(後略)」
・「俳優の奥深いところにある何かを引き出せるせりふを書きたいなって思うんです。(中略)日常ではない追い込まれ方をすることで生まれる劇ならではの言葉というものを。」
・「熱量が編み出されるのも言葉のやりとりだったり、感情があおられていくのも言葉だったりするので、やっぱり無造作にはできないですね。書いていると、彫刻刀みたいに言葉を使うなっていう感覚があります。(後略)」
・「自分に書けることは何だろうと探すこともありますし、やっぱり女性劇作家って少ないんだなって意識したのもあって。観客も、女優も多いのに、女性側から発せられた言葉が少ないなというのがあって、そういう意味で女性の側から見た時代の流れだったり、歴史だったり、庶民の力だったり、そういうのもちょっと意識して出したいなと思うようになってきました。」
・「やはり一番は、自分には言葉の力で観客と演じ手がすごく綺麗なところでぎゅっと結ばれた原体験があったので、あの瞬間を見出すために書き続けたいというのがありますね。あとは演劇をやっていて好きなのが、観客席と一緒に旅をしたような、違う景色を見て戻ってきて、これまでとはちょっと違う風景が見えたりするような体験がすごくいいなと思っているので、そんな作品を書き続けたいと思います。」

 今回の上演を見て、次回の劇団民藝の上演、新宿の紀伊國屋サザンシアターで演じられる『ペーパームーン』にも行こうと思っています。(6月20日から7月1日まで。前売りは5月8日午前10時から、044-097-7711 劇団民藝、もしくはローソンチケット、チケットぴあなので発売予定するそうです)

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto

P.S 昔、東京都江東区にあった進学塾「早友」の東陽町教室で私と同僚だった伊藤さんと黒山さん、連絡をください。首を長くして福長さんと待っています。(m-goto@ceres.dti.ne.jp)