昨日の続きです。
6. ジャンゴ モダン・ジャズ・カルテットのリーダー格ジョン・ルイスが、ジャンゴ・ラインハルトに捧げて作曲した芸術的香気に充ちた曲。今もMJQの十八番であるが、この演奏は、マイルスの入った11人グループ。ルグランの編曲もユニークで、美しい原旋律をハープとヴァイブを加えたリズム・セクションだけで奏し、マイルスのミュートしたトランペットが、原曲のドビュッシーにも似た色彩とムードを見事に描き出す。(ピアノはビル・エヴァンス)
7. ワイルド・マン・ブルース ジャズの初期、〈キング・ポーター・ストンプ〉などの名曲を作ったピアニスト、ジェリー・ロール・モートンが、ルイ・アームストロングと共作したといわれる。演奏はこれも11人グループで、柔い音色の合奏に、コスタのヴァイブ、コルトレーンのテナー、マイルスのトランペットのソロがきける。バックのハープやフルートによるハーモニーも、ルグランらしい洗練さを感ぜしめる。(ピアノはビル・エヴァンス)
8. ロゼッタ ジャズ・ピアニストとして長く活躍したアール・ハインズの代表的作品。演奏は10人グループで、4人のトロンボーンの名手をフィーチャーし、各ソロと合奏を十分にきかせる他、ウェブスターのテナーとハービー・マンのフルートのソロが快くスウィングする。
9. ラウンド・ミッドナイト 異才ピアニスト、セロニアス・モンクの初期の作品で、今日ではスタンダード・ソングにもなっている。演奏は11人グループでハープによる美しいイントロに続いて、マイルスのミュート・トランペットが原曲の訴えかけるようなブルーな旋律を殆どストレートに感情をこめて歌っている。(ピアノはビル・エヴァンス)
10. ドント・ゲット・アラウンド・マッチ・エニモア デューク・エリントンの数ある作品中最もポピュラーな一つで、唄でもよく歌われる。演奏は10人グループ。始めと終りに、今は亡きジョージ・デュヴィヴィエのベース・ソロを配し、トロンボーン4人の合奏に、フルートのソロが続く。原旋律は大分崩されて、全体にミステリックな味を出した面白い編曲が楽しめる。
11. イン・ア・ミスト 白人トランぺッターとして不朽の名声を残したビックス・バイダーベックが、ピアノ・ソロで吹込んだ作品で、フランス印象派にたとえられる美しい曲。演奏は、15人編成バンドで合奏とソロを交互に配し、セルダン・パウエルのテナー初め、各人の短いソロが次々と現われる中に、原曲の優雅なムードを残している。
12. ミス・ジョーンズに会ったかい ここからあとの3曲は、1962年にルグランがニューヨークで18人編成の大バンドを集めて録音したリチャード・ロジャースの作品。この曲は、1937年のミュージカル“I’d rather be right”の主題歌で、作詞はコンビのロレンツ・ハート。ルグランの編曲は中テンポの快適なスウィングでミュート・トランペットの鋭いソロが圧巻である。
12.これは恋ではない 1938年のミュージカル『ザ・ボーイズ・フロム・シラキューズ』の主題歌としてロジャースとハーツのコンビで作詞作曲、1940年にユニバーサルで同名の映画化された。アップ・テンポの大編成オーケストラの快演で、ブラス群のアタック、ホルンの巧みな使用、ミュート・トランペットとトロンボーンのシャープなソロ、ジェリー・ドジアンのホットなアルト・ソロ、サックス群の息もつかせぬソリ、胸のすくようなムードである。
13. 気まぐれレディー 有名な〈いとしのヴァレンタイン〉と同じく初め『ベイブス・イン・アームス』の主題歌として作られたが、1939年のMGM同名映画(『青春一座』)や数多くの映画に使用され広く愛唱されるようになった。
ここでは珍しく、デューク・エリントン楽団に在団したテナー奏者故ポール・ゴンザルヴェスの直情的なソロ・プレイをきかせる。後半はアップ・テンポに変って、ミュート・トランペットのスウィンギーなソロと、力強いアンサンブルとが力強く交叉する。」
ルグランとビル・エヴァンスの出会いが1958年にあったことを初めて知りました。ビルがスコット・ラファロと出会い、各パートにソロパートを作った、世界で最初のジャズミュージシャンなのだと今まではずっと思っていましたが、ルグランとの出会いがそうした形式のヒントになっていたのかもしれません。ビルは私が最も愛する音楽家で、ルグランも負けずに好きな音楽家なのですが、それが決して偶然ではないのだとはっきりしました。
なお、ルグランは今でも健在で、今年の7月6日から9日にかけて、ブルーノート東京でトリオの演奏を聴かせてくれる予定となっています。6日と9日は前半の演奏開始が18時30分、後半の演奏開始が21時ちょうど、7日と8日は前半の演奏開始が17時、後半の演奏開始が20時となっています。予約はブルーノート東京のホームページからできます。もしかしたら最後の日本公演になるかもしれませんので、必聴です。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)
P.S 昔、東京都江東区にあった進学塾「早友」の東陽町教室で私と同僚だった伊藤さんと黒山さん、連絡をください。首を長くして福長さんと待っています。(m-goto@ceres.dti.ne.jp)
6. ジャンゴ モダン・ジャズ・カルテットのリーダー格ジョン・ルイスが、ジャンゴ・ラインハルトに捧げて作曲した芸術的香気に充ちた曲。今もMJQの十八番であるが、この演奏は、マイルスの入った11人グループ。ルグランの編曲もユニークで、美しい原旋律をハープとヴァイブを加えたリズム・セクションだけで奏し、マイルスのミュートしたトランペットが、原曲のドビュッシーにも似た色彩とムードを見事に描き出す。(ピアノはビル・エヴァンス)
7. ワイルド・マン・ブルース ジャズの初期、〈キング・ポーター・ストンプ〉などの名曲を作ったピアニスト、ジェリー・ロール・モートンが、ルイ・アームストロングと共作したといわれる。演奏はこれも11人グループで、柔い音色の合奏に、コスタのヴァイブ、コルトレーンのテナー、マイルスのトランペットのソロがきける。バックのハープやフルートによるハーモニーも、ルグランらしい洗練さを感ぜしめる。(ピアノはビル・エヴァンス)
8. ロゼッタ ジャズ・ピアニストとして長く活躍したアール・ハインズの代表的作品。演奏は10人グループで、4人のトロンボーンの名手をフィーチャーし、各ソロと合奏を十分にきかせる他、ウェブスターのテナーとハービー・マンのフルートのソロが快くスウィングする。
9. ラウンド・ミッドナイト 異才ピアニスト、セロニアス・モンクの初期の作品で、今日ではスタンダード・ソングにもなっている。演奏は11人グループでハープによる美しいイントロに続いて、マイルスのミュート・トランペットが原曲の訴えかけるようなブルーな旋律を殆どストレートに感情をこめて歌っている。(ピアノはビル・エヴァンス)
10. ドント・ゲット・アラウンド・マッチ・エニモア デューク・エリントンの数ある作品中最もポピュラーな一つで、唄でもよく歌われる。演奏は10人グループ。始めと終りに、今は亡きジョージ・デュヴィヴィエのベース・ソロを配し、トロンボーン4人の合奏に、フルートのソロが続く。原旋律は大分崩されて、全体にミステリックな味を出した面白い編曲が楽しめる。
11. イン・ア・ミスト 白人トランぺッターとして不朽の名声を残したビックス・バイダーベックが、ピアノ・ソロで吹込んだ作品で、フランス印象派にたとえられる美しい曲。演奏は、15人編成バンドで合奏とソロを交互に配し、セルダン・パウエルのテナー初め、各人の短いソロが次々と現われる中に、原曲の優雅なムードを残している。
12. ミス・ジョーンズに会ったかい ここからあとの3曲は、1962年にルグランがニューヨークで18人編成の大バンドを集めて録音したリチャード・ロジャースの作品。この曲は、1937年のミュージカル“I’d rather be right”の主題歌で、作詞はコンビのロレンツ・ハート。ルグランの編曲は中テンポの快適なスウィングでミュート・トランペットの鋭いソロが圧巻である。
12.これは恋ではない 1938年のミュージカル『ザ・ボーイズ・フロム・シラキューズ』の主題歌としてロジャースとハーツのコンビで作詞作曲、1940年にユニバーサルで同名の映画化された。アップ・テンポの大編成オーケストラの快演で、ブラス群のアタック、ホルンの巧みな使用、ミュート・トランペットとトロンボーンのシャープなソロ、ジェリー・ドジアンのホットなアルト・ソロ、サックス群の息もつかせぬソリ、胸のすくようなムードである。
13. 気まぐれレディー 有名な〈いとしのヴァレンタイン〉と同じく初め『ベイブス・イン・アームス』の主題歌として作られたが、1939年のMGM同名映画(『青春一座』)や数多くの映画に使用され広く愛唱されるようになった。
ここでは珍しく、デューク・エリントン楽団に在団したテナー奏者故ポール・ゴンザルヴェスの直情的なソロ・プレイをきかせる。後半はアップ・テンポに変って、ミュート・トランペットのスウィンギーなソロと、力強いアンサンブルとが力強く交叉する。」
ルグランとビル・エヴァンスの出会いが1958年にあったことを初めて知りました。ビルがスコット・ラファロと出会い、各パートにソロパートを作った、世界で最初のジャズミュージシャンなのだと今まではずっと思っていましたが、ルグランとの出会いがそうした形式のヒントになっていたのかもしれません。ビルは私が最も愛する音楽家で、ルグランも負けずに好きな音楽家なのですが、それが決して偶然ではないのだとはっきりしました。
なお、ルグランは今でも健在で、今年の7月6日から9日にかけて、ブルーノート東京でトリオの演奏を聴かせてくれる予定となっています。6日と9日は前半の演奏開始が18時30分、後半の演奏開始が21時ちょうど、7日と8日は前半の演奏開始が17時、後半の演奏開始が20時となっています。予約はブルーノート東京のホームページからできます。もしかしたら最後の日本公演になるかもしれませんので、必聴です。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)
P.S 昔、東京都江東区にあった進学塾「早友」の東陽町教室で私と同僚だった伊藤さんと黒山さん、連絡をください。首を長くして福長さんと待っています。(m-goto@ceres.dti.ne.jp)