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サミュエル・フラー監督『殺人地帯USA』その2

2018-05-14 06:12:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。
 フェイドイン。サンディが人形の音を出している。「新しい年がそんなに嬉しい?」ブザー。「トリー! 会いたかった。まだ早いと思ってこんな格好で」「病気だったのか?」「顔を見たら治ったわ。どこで盗んだ服?」「ムショで俺が仕立てた。職業訓練施設で」「ネクタイはいまいちね」「これは買った」「いいものをあげるわ。ほら、水玉模様。好きよね」とネクタイを渡す。
「酒場は?」「売ったわ」「高値で売れた?」「ジーラの言い値で」「ジーラ?」「そうよ」「同じ名前の男はいるか?」「ジーラと言えばあの麻薬王だけ。奴らコーヒー店を隠れ蓑にしてよ。あの酒場も今じゃもうコーヒー店。(中略)名前だけ残してあって、“エリート・エスプレッソ”とかいうの」。
 「地方検事局の男、覚えてる? ドリスコル」。“ドリスコル地方検事、犯罪取締りを強化”の記事。「さあ、聞かせて」「何を?」「何の仕事を」「仕事?」「そう、仕事よ。まともな仕事。また金庫破りをするようなら出てって」「そんなのじゃない」「それが聞きたかった。5年の服役生活で何か学べるようにと願ってたけど、わかったのね」「ああ、ついに分かった。十分にね」「どういう意味?」「親父を殺った奴らだ。ファラーから聞き出した」「殺したの?」「殺すまでもない。ムショの病院で許しを請いてから死んだ。仲間の名を白状して」。人形のネジを巻くトリー。オルゴールの音。「誰か知りたいか?」「いいえ、知りたくないわ」「こいつらだよ、犯人は」と新聞の記事を指す。「これが俺の仕事。ジーラ、ガンサー、スミス。3人のチンピラを始末する」「チンピラ? 大統領より厳重に守られてる。始末ですって? バカ言わないで。ねえ、トリー。あんたの気持ちはよく分かってる。でももう大人なのよ。わきまえて、復讐しようなんて考えないで。32歳にもなったのに、まともな生活とは無縁。刑務所を転々として、やっと出られた。一度きりの人生よ。棒に振らないで、楽しく生きるの」「俺に必要なのはただ一つ。ジーラに近づくことだ。あの店にヤクが隠してあると?」「ありえるわね」。
 “エリート・エスプレッソ”。深夜。従業員口をピッキングで開けるトリー。
 中に入り、小部屋の電灯をつけ、探す。隣の部屋に男が現われ、電灯を消す。男、電話を掛ける。「ジーラさんに…。女がしり込みして仕事に使えない。女もここにいる。鍵はクローゼットの棚に。女は? 分かりました」。電話を切る。深刻な顔をする男「カドルス!」。不安そうに入ってくる女。「彼は気を悪くした?」「鍵をくれ」「ええ、待って。ヤクの取引なんて私には無理。やろうと思ったけどできなかった」。男、サングラスをかけ、鍵をトリーがいるクローゼットの棚の上へ。カドルス「やるわ」「残念だな」「言われた通りにやると彼に伝えて」。女を殴り倒す男。トリーは鍵を手にし、男を背後から受話器で殴り失神させ、女を抱き上げて逃げる。「ちょっと待って。もう動けない」「こっちだ」「あなたは誰?」「麻薬捜査官だ」「私は売人じゃないわ」「協力するなら君の免罪を進言する」「大したことは知らないの」「これはどこの鍵だ?」。
 “スポーツ用品店”の看板。引き出しの中の弾丸の箱の中にヤク。「純度100%か?」「病院に行きたい」「俺が殴った男の名は?」「お願いよ、名前なんて勘弁して」。“クリーンなスポーツでクリーンなアメリカを”の看板。
 トリーはカドルスの顔の傷の手当。数々の人形が下からのライトに照らされ、不気味に見える。「ここはどこ?」「警察じゃ君の愛人にバレるかもしれん」「愛人じゃない」「じゃあ何だ?」「これ以上の面倒はイヤ」「命を助けたんだぞ。あいつの名は?」「ガス・カダヒー」「連絡先は?」「ウィルソンの45519」。トリー、去る。サンディー「ホットミルクを飲んで」「迷惑をかけて」「いいのよ」「彼はいい警官ね」「警官?」。
 サンディー「あのカドルスって人は誰で何があったの?」トリー「命が危なかった」「それを助けたの?」「そうだ」「人助けなんて初めてね」「俺は親切なんだぜ」「彼女は何者?」「ただの娼婦さ」「それは分かる。なぜ連れて来たの?」「話を進めるためさ。彼女は命令に逆らった」「どこの話?」「“エリート・エスプレッソ”という名の単なるコーヒー店の事務所で起きた話さ」「銃とは無縁?」「ああ」「じゃあこの弾丸は?」。トリー、電話する。「ガスか?」「誰だ?」「例の“弾丸”を売りたい」「何の話だ?」「1時間後に店の裏で。現金5万ドルで売る」「無理な話だ」。トリー、一方的に電話を切る。「これでジーラの顔が拝める」(また明日へ続きます……)

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto

P.S 昔、東京都江東区にあった進学塾「早友」の東陽町教室で私と同僚だった伊藤さんと黒山さん、連絡をください。首を長くして福長さんと待っています。(m-goto@ceres.dti.ne.jp)