神奈川県厚木市の中央図書館にあったCD『ルグラン・ジャズ』を借りて、聴きました。以下、このCDに対して、瀬川昌久さんが書いた解説をそのまま書き写そうと思います。
「ミシェル・ルグランが鬼才を発揮したモダン・ジャズ・オーケストラの最高傑作
フランス音楽界の生んだ天才児ミシェル・ルグラン(以上が題名)
ミシェル・ルグランは1932年パリで生れたピアニスト、作編曲家で、映画『シェルブールの雨傘』を初め数々の美しい名曲の作者として世界的に有名である。又ジャズ・ピアニストとしても優れているばかりでなく、ストリングス・オーケストラの指揮編曲者としてフレンチ・ポップスの隆盛を促す多くのムード音楽アルバムを世に送った。天才児ルグランのもう一つの才能、モダン・ジャズ・オーケストラのアレンジャーとしても並々ならぬ個性的なサウンドの創造者で、卓越したアルバムを幾つか世に送り出したことは、意外に知られていない。今日一流のジャズ・アレンジャーと称されるギル・エヴァンスやクインシー・ジョーンズと比較しても、決して負けをとらない優れたサウンド・クリエイターであると共に、如何にもフランス生まれらしい洒落た感覚のエスプリの利いたルグラン・タッチを身につけている。
このアルバムは、1958年26歳のルグランがハネ・ムーンを兼ねてアメリカを訪れた際、ニューヨーク在の超一流ジャズメンを集めて古今のジャズ名曲を編曲吹込んだLP『ルグラン・ジャズ』の全11曲と、1962年に再びニューヨークで大編成オーケストラを組んでリチャーズ・ロジャースの作品を録音したLP『ルグラン・ビッグ・バンド・ジャズ~フォー・リチャード・ロジャース』から選んだ3曲とを併せて、計14曲を新しく編成したものである。今日50年代後半から60年代にかけてのモダン・ジャズの名演集が再認識され数多くCD化されているが、このルグランの吹込みに参加したミュージシャンは、マイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーン、ビル・エヴァンス初め、当時のモダン・ジャズ・シーンの最前線にあって活躍したスーパー奏者を網羅しており、ルグランの軽妙洒脱なサウンドの中からきかれる彼等のソロ・プレイは、今日きいても新鮮である。全14曲の吹込みパーソネルについては、別表リストを御覧頂くとして、既に物故したベン・ウェブスターやコルトレーン、エヴァンスらのモダン・オーケストラとの共演は、極めて珍しいだけに、コレクターにとっても貴重なディスクといえるだろう。(ちなみにビル・エヴァンスが参加している曲は1、6、7、9です。)
演奏曲目について
1.ザ・ジッターバグ・ワルツ 1943年に死んだピアニスト、ファッツ・ウォーラーの作ったミュージシャン好みの名曲。演奏はマイルス・デイヴィスとジョン・コルトレーンの参加した11人編成の中型バンド。マイルスのフリューゲル・ホーンのソロに始まるイントロが、ピアノ、サックスのユニゾン、フルートとからんで極めて印象的で、エンディングにも繰り返される。独奏部のマイルス、ハービー・マン、コルトレーン、エヴァンスと50年代モダン・ジャズの粋をきかせてくれる。(ピアノはビル・エヴァンス)
piano
2.雲 フランスのギター奏者として世界的に著名な故ジャンゴ・ラインハルトの代表曲。演奏は、トロンボーン4人とテナーの大ベテラン、ベン・ウェブスターを含む10人編成グループ。フランク・リハーク以下モダン・トロンボーンの一流4人のアンサンブルと、ウェブスターのたくましいテナー・ソロがききどころである。
3.チュニジアの夜 余りにも有名なディジー・ガレスビーの作品。演奏は大編成の15人ビッグ・バンド。アーニー・ロイヤル、アート・ファーマー、ドナルド・バード、ジョー・ワイルダーの4人のトランペット奏者の迫力ある合奏と各人のアドリブ・ソロが圧巻。ジーン・クイルとフィル・ウッズのアルト・ソロも夫々出てくる。同じハード・バップ系のオーケストラでも如何にもルグランらしい繊細な味が楽しめる。
4.ブルー・アンド・センチメンタル カウント・ベイシー楽団の演奏でおなじみのバラード風の曲。10人グループの演奏で、トロンボーンの合奏をバックに、ベン・ウェブスターの男性的なフルトーンのプレイが情緒たっぷり。
5.サヴォイでストンプ スウィング時代の黒人編曲者エドガー・サンプソンの作品で、ベニー・グッドマン楽団の吹込みで一躍有名になった。15人の大バンドの演奏だが、ルグランの編曲は、テーマのアンサンブルにスウィング時代とは全く異なったモダンなサウンドを与えて面目を一新している。ソロのアルト、トランペット、トロンボーンも夫々モダンな感覚に溢れている。(明日へ続きます……)
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)
P.S 昔、東京都江東区にあった進学塾「早友」の東陽町教室で私と同僚だった伊藤さんと黒山さん、連絡をください。首を長くして福長さんと待っています。(m-goto@ceres.dti.ne.jp)
「ミシェル・ルグランが鬼才を発揮したモダン・ジャズ・オーケストラの最高傑作
フランス音楽界の生んだ天才児ミシェル・ルグラン(以上が題名)
ミシェル・ルグランは1932年パリで生れたピアニスト、作編曲家で、映画『シェルブールの雨傘』を初め数々の美しい名曲の作者として世界的に有名である。又ジャズ・ピアニストとしても優れているばかりでなく、ストリングス・オーケストラの指揮編曲者としてフレンチ・ポップスの隆盛を促す多くのムード音楽アルバムを世に送った。天才児ルグランのもう一つの才能、モダン・ジャズ・オーケストラのアレンジャーとしても並々ならぬ個性的なサウンドの創造者で、卓越したアルバムを幾つか世に送り出したことは、意外に知られていない。今日一流のジャズ・アレンジャーと称されるギル・エヴァンスやクインシー・ジョーンズと比較しても、決して負けをとらない優れたサウンド・クリエイターであると共に、如何にもフランス生まれらしい洒落た感覚のエスプリの利いたルグラン・タッチを身につけている。
このアルバムは、1958年26歳のルグランがハネ・ムーンを兼ねてアメリカを訪れた際、ニューヨーク在の超一流ジャズメンを集めて古今のジャズ名曲を編曲吹込んだLP『ルグラン・ジャズ』の全11曲と、1962年に再びニューヨークで大編成オーケストラを組んでリチャーズ・ロジャースの作品を録音したLP『ルグラン・ビッグ・バンド・ジャズ~フォー・リチャード・ロジャース』から選んだ3曲とを併せて、計14曲を新しく編成したものである。今日50年代後半から60年代にかけてのモダン・ジャズの名演集が再認識され数多くCD化されているが、このルグランの吹込みに参加したミュージシャンは、マイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーン、ビル・エヴァンス初め、当時のモダン・ジャズ・シーンの最前線にあって活躍したスーパー奏者を網羅しており、ルグランの軽妙洒脱なサウンドの中からきかれる彼等のソロ・プレイは、今日きいても新鮮である。全14曲の吹込みパーソネルについては、別表リストを御覧頂くとして、既に物故したベン・ウェブスターやコルトレーン、エヴァンスらのモダン・オーケストラとの共演は、極めて珍しいだけに、コレクターにとっても貴重なディスクといえるだろう。(ちなみにビル・エヴァンスが参加している曲は1、6、7、9です。)
演奏曲目について
1.ザ・ジッターバグ・ワルツ 1943年に死んだピアニスト、ファッツ・ウォーラーの作ったミュージシャン好みの名曲。演奏はマイルス・デイヴィスとジョン・コルトレーンの参加した11人編成の中型バンド。マイルスのフリューゲル・ホーンのソロに始まるイントロが、ピアノ、サックスのユニゾン、フルートとからんで極めて印象的で、エンディングにも繰り返される。独奏部のマイルス、ハービー・マン、コルトレーン、エヴァンスと50年代モダン・ジャズの粋をきかせてくれる。(ピアノはビル・エヴァンス)
piano
2.雲 フランスのギター奏者として世界的に著名な故ジャンゴ・ラインハルトの代表曲。演奏は、トロンボーン4人とテナーの大ベテラン、ベン・ウェブスターを含む10人編成グループ。フランク・リハーク以下モダン・トロンボーンの一流4人のアンサンブルと、ウェブスターのたくましいテナー・ソロがききどころである。
3.チュニジアの夜 余りにも有名なディジー・ガレスビーの作品。演奏は大編成の15人ビッグ・バンド。アーニー・ロイヤル、アート・ファーマー、ドナルド・バード、ジョー・ワイルダーの4人のトランペット奏者の迫力ある合奏と各人のアドリブ・ソロが圧巻。ジーン・クイルとフィル・ウッズのアルト・ソロも夫々出てくる。同じハード・バップ系のオーケストラでも如何にもルグランらしい繊細な味が楽しめる。
4.ブルー・アンド・センチメンタル カウント・ベイシー楽団の演奏でおなじみのバラード風の曲。10人グループの演奏で、トロンボーンの合奏をバックに、ベン・ウェブスターの男性的なフルトーンのプレイが情緒たっぷり。
5.サヴォイでストンプ スウィング時代の黒人編曲者エドガー・サンプソンの作品で、ベニー・グッドマン楽団の吹込みで一躍有名になった。15人の大バンドの演奏だが、ルグランの編曲は、テーマのアンサンブルにスウィング時代とは全く異なったモダンなサウンドを与えて面目を一新している。ソロのアルト、トランペット、トロンボーンも夫々モダンな感覚に溢れている。(明日へ続きます……)
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)
P.S 昔、東京都江東区にあった進学塾「早友」の東陽町教室で私と同僚だった伊藤さんと黒山さん、連絡をください。首を長くして福長さんと待っています。(m-goto@ceres.dti.ne.jp)