皇位象徴の甲冑小札 長岡宮内裏跡で発見 |
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向日市埋蔵文化財センターは18日、鶏冠井町東井戸の長岡宮内裏跡から、古墳時代後期から長岡京時代の間につくられたとみられる甲胄(かっちゅう)の鉄片「小札(こざね)」計30点(27枚分)が出土した、と発表した。内裏跡で小札が見つかったのは初めて。 ■正倉院御物と同一品も 奈良県の藤ノ木古墳や正倉院御物(ぎょぶつ)などと同じ小札も含まれ、センターの梅本康広主任は「実戦用とは別に皇位を象徴する御物として、大和王権以来の武具が継承されていた可能性を示している」としている。 小札は断片も含めて長さ9・3センチ~2・4センチ、幅3・2センチ~0・8センチ。胴体本体のほか付属具の手甲か肩甲とみられる小札もあった。 X線写真を解析した結果、小札同士を結ぶ組紐(ひも)や革付きのものもあり、形や大きさ、穴の配列などから8タイプに分類できた。 また、ほかの遺跡の小札を基に製造年代をみると、6世紀末~7世紀後半と8世紀前、中、後期の計4期に分かれた。藤ノ木古墳や飛鳥寺、東大寺大仏 殿で発見されたり正倉院が所蔵する御物と同じものもあり、ほとんどが伝承品と分かった。ほかにも、地方からの貢ぎ物とみられる小札も確認された。 さらに今回、小札が内裏跡内の「脇殿」と呼ばれる遺構から出土したことで、これまで文献で武具の収納庫とされていた脇殿の用途が初めて裏付けられ たとしている。小札は、平安遷都に伴い長岡宮を解体するため「東院」に移った際、脇殿を解体してその遺構内に埋めたとみられ、梅本主任は「何らかの祭祀 (さいし)的な行為が伴っていた可能性を思わせる」としている。 19日から、向日市の市文化資料館で開く「新発見の考古資料展」で公開する。4月25日まで。無料。 |
八幡市が石清水八幡宮境内で本年度、初めて実施した測量調査で、江戸時代中期の絵図に描かれた坊などの跡地が良好な状態で残っていることが分かった。22 日に開かれた境内遺跡調査専門委(委員長・永井規男関西大名誉教授)で報告された。絵図にない遺構も見つかり、同八幡宮のかつての隆盛の跡がうかがえると いう。 江戸時代中期の絵図「八幡山上山下惣絵図」には、同八幡宮のある男山一帯に約40カ所の坊や堂舎が描かれているが、明治初期の廃仏棄釈でほとんど 取り壊された。市は縮尺500分の1の詳細な地形図をつくるため、測量調査を境内9・4ヘクタールで実施、遺構の分布状況を調べた。 その結果、斜面を崩して造成した各坊の敷地跡がそれぞれ確認できた。特に東側は保存状態が良く、現在使われていない古道3カ所や井戸跡が見つかった。石垣や瓦、縁石などの遺物も多数残っていた。 また南側では、絵図にない室町時代と思われる坊跡を2カ所確認。中世には建物群がより広範囲に点在していたとみられる。西側は駐車場などが設けられ、地表から遺構は見つからなかった。 同専門委は境内の遺跡を調査し、2012年の国史跡指定を目指している。八幡市教委は「急な斜面に坊を築いていた様子などがわかってきた。来年度は男山のふもとまで調査範囲を広げたい」としている。 |