1、多くの子どもと知り合いになり、街中でも挨拶・会話するようになった子が・・・
通学道路を歩いて来るA君兄妹は、いつも目立っていた。兄は小柄だがいつも明るく元気だ。ある日彼のおばあちゃんが付き添ってきた。
おばあさんは校内にいく彼を見送ったあと私の横に来て、あの子はがさがさして、言うこと聞かないし心配していますねん。と愚痴とも言える独り言である。
私は「毎日見ていてよい子ですよ、きっと立派な子になりますよ。」と励ました。五年生になると通学班のリーダーで10人ほどの低学年を連れて歩いてくるのだが、
彼は、口笛を吹きながら歩いてくる。時には列の一番前で後ろ向きに歩いてくる。このユニークさを誉める人はあまりないらしい。
私はなぜか誉めたくなる、嬉しい風景なのだ。
ある日彼を近所で見たことがある。冬の下校時で薄暗くなる時間なのに、平気でお墓の中を歩いて帰るのだ。近道だから・・ 普通の子は遠回りするのに・・。
彼の家の前で偶然あったことがある。「A君の家はここやったのか?」「ウン、おっちゃん何しに来たんや?」「近くの家に用事があったからや!」
「A君とこのおばあちゃんは、Mさんというのか?」「なんで知ってるの?」と不思議そう。また「なんでやねん?」と聞くので、
「ここに書いてあるやろ」と2世帯住宅の表札を指差した。 これで前より親しくなった。
6年生の3学期、彼は「背が伸びないので悩んでいる」という話を聞いた。私は朝、彼を止めてもう卒業やな!肩幅が大きくなったな、
中学校に行ったら背が大きくなるぞ!と励ました。彼が卒業したらその妹が低学年にいたのだが、その子は兄よりもっとユニークなのだ。
いつも周囲の数人の子がいて、ちょっと低い大きな声でなにやら話ながら来る、私はAちゃんはいつも元気やナーと言うと、「フン」という返事、
きっとクラスの人気者に違いない、必ずクラスのリーダーになる。私が子どもの頃にもそんな子がいた。
学校では、どの子もよい子にしようという指導の中で、A君兄妹のような形にはまらない子は貴重な存在なのだ。
このように伸び伸び育っている子の未来は楽しみである。