米国の中国軍事力報告書の出発点には悪意がある
米国防総省は13日、中国の軍事・安全保障動向に関する年次報告書を議会に提出した。同報告書の公表は2000年以来16回目だ。(環球時報社説)
米国が軍事力報告書を作成した国は過去に4つあった。旧ソ連、イラン、朝鮮、中国だ。現在影響力が最も大きいのは明らかに中国軍事力報告書だ。米国人がどう弁解しようとも、この報告書に透けて見える敵意は明らかだ。
中米両大国の関係処理が歴史上の大国の角逐・衝突経験の暗示から抜け出すのは困難だ。両国関係が一体どのような性質のものなのか、現時点ではまだ定まって いない。この重大な位置づけがどちらの方向に傾くのかは、中米社会の互いの見方の相互作用によるところが大きい。中国軍事力報告書の公表は、中米関係を悲 観的な方向に誘導するものだ。
米国の軍事力は中国を遥かに上回る。米国防総省が敵意をほぼ隠すことなく中国の軍事力発展を論じている際に、こうした敵意に対して対応的な防備をせずに「できるだけ物事を良い方向に考える」よう中国に求めるのは全く非現実的だ。
米国防総省は中国を緊密に監視するとともに、数多くの対処措置を準備している。すでに東中国海、台湾海峡、南中国海方面で解放軍の封じ込めを主要な戦略任務の1つとしている。これが米国防総省による中国軍事力報告書の相次ぐ公表が中国人に与えている全体的な印象だ。
ここ何年か中国軍事力報告書が繰り返し公表されてきた過程を振り返ると、これらは「中国の脅威」に対する米国社会の見方を大きく形作り、「アジア太平洋リバランス」戦略などの形成を後押しした。これらの報告書は世界規模の「中国脅威論」の重要な源ともなった。
同時に、こうした報告書の生む圧力が中国の国防力発展を阻止するうえで実際の役割を果たしていないことにも目を向ける必要がある。中国の軍事力整備は大国 の戦略的防御上の必要性を全く超えておらず、また中国経済の急成長と釣合のとれたものであるため、中国社会の広範な支持を得ている。米政府の作り出す国際 世論圧力は中国国内でいかなる障害にもなっておらず、中国の国防発展を妨害するために国際社会が過激な対抗行動を取る実際の原動力にもなっていない。
西側世論を先導して「中国の脅威」を喧伝するのは米国の一貫した手段だ。彼らは何かしらを見つけては大げさに宣伝する。中国にしてみれば、最も重要なのは彼らが中国の発展を妨害する強制的行動を取ることができないということだ。
中国の国家安全と自主性の最大の保障は総合力の構築に由来し、このうち軍事力の発展は必要不可欠だ。しかも今日、その肝要な意義は一層際立っている。われわれは中国軍事力報告書の影響を取り除く取り組みを多く行う必要があるが、最も大切なのはそれに翻弄されないことだ。
中国には国益を守るために軍事力を強化する権利がある。中国近海でのわれわれの目標は、米国のいかなる強力な軍事的干渉にも対処できる力を構築すること だ。この目標は全く正当かつ正義であり、1840年から蓄積され続け、幾度か中断されても連綿と続いてきた歴史の力を持つ。中国の正当な国防整備を脅威と 見なす米国の出発点は誤っている。米国が時代に合わせて調整を行えるのかどうか、21世紀の国際関係にとって真の懸念だ。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年5月16日