違法・非道 電機リストラやめさせよ 人減らしで産業「復活」ない
衆院予算委 志位委員長が迫る
日本共産党の志位和夫委員長は13日の衆院予算委員会で、社会問題となっている電機・情報産業による13万人にのぼるリストラ計画を取り上げ、「違法・非道な人減らしを放置しておいて
日本経済の再生はない。政府がやめさせるよう役割を果たすべきだ」と求めました。
志位氏は、社会的に許されないやり方として、繰り返しの退職強要という違法行為を行っているNECのケースを告発しました。
11回も退職強要を受け、「自殺するしかない」とまで追い詰められたAさん。「能力がない」「内戦状態のシリアへの転勤になる」とば倒・脅されたBさんは「悔しさを通り越して、毎日が悲しい」と訴えています。
志位氏が「『多数回、長期にわたる退職勧奨』『自由な意思決定を妨げる退職勧奨』は最高裁判決に照らして違法」と指摘し、「あってはならないと思 わないのか」とただしても、野田佳彦首相は「一般論でいうと、行ってはならない」と繰り返しました。志位氏はシャープなどを例に他の電機産業でも違法な退 職強要が広がっているとして、政府が実態を全面的につかみ、断固とした措置をとるよう求めました。
さらに志位氏は日本IBMでは突然、正当な理由なく解雇を通告し、そのまま職場から締め出す「ロックアウト解雇」が行われていることを示しました。
解雇通知書を突きつけられ、「今日の終業時刻までには私物をまとめて帰れ」と言われたDさん。入社25年表彰で特別休暇中のEさんは、休暇明け出社の翌日に解雇通知を受け、ショックで倒れ、病院に運ばれました。
寄せられた7人の解雇通知書を首相に手渡した志位氏は、通知書が一言一句同じで、解雇理由はすべて「業績不良」となっていることを指摘し、客観 的・合理的理由がないと無効だとする労働契約法や確定判決に反すると追及。日本IBMの元社長が「日本の毒味役になる」と公言していることを告発し、 「『毒味』を許したら、日本中にこの無法なやり方が横行する」と指摘しました。
首相は「一般論」で逃げていましたが、志位氏が「政治は何のためにあるのか」と迫ると首相は「そういうことがあるなら、あってはならない」と答えざるをえませんでした。
志位氏は電機・情報産業の衰退にふれ、「労働者をモノのように切り捨て、技術開発の土台を自ら破壊し、いっそうの経営悪化への悪循環をつくりだし ている」と指摘。フランスでは政府が身勝手なリストラに待ったをかけ、日本の電機・情報産業には26兆円もの内部留保があるとして「雇用に対する社会的責 任を果たさせることこそ政府の役割だ」と主張しました。
“生の事実が国会に”“答弁引き出された”
NEC・IBM労働者らが傍聴
志位委員長の質問を全国から駆けつけた約80人が傍聴しました。
質問で「Bさん」として取り上げられたNECの40代の男性(電機・情報ユニオン)は最前列で傍聴。「面談内容はすべて文書に起こしました。志位さんにその生の事実、声をそのまま国会で伝えてもらい、うれしかった」とのべました。
NECは同僚に対し、今も複数回の面談で出向を強要中。「たたかいは続きます。会社に対して真っ向からたたかい続けたい」と話しました。
同じく質問のなかで紹介されたJMIU(全日本金属情報機器労働組合)日本アイビーエム支部の男性(40)は、野田首相が一般論としながらもロッ クアウト解雇を「あってはならない」と明言したことについて、「いい答弁を引き出してもらった」と喜びました。「裁判で解雇撤回を勝ち取るためにも、ひど さを世間に広げてくれてありがたい」「裁判をしないと解決しないのであれば、泣き寝入りが増えます。政府は動いてほしい」と話しました。
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韓国・中央日報
日本企業の業績悪化は円高のせい? 本当の失敗原因は
日本の主な製造業は1980年代までしても世界最強だった。80年代にソニーが開発した「ウォークマン」は世界の若者たちが最も欲しがる先端オーディ オ製品だった。総合家電メーカーのシャープも現在のアップルやサムスン電子を凌駕する名門だった。一時は最高と賛辞を受けた日本の看板企業が深刻な業績悪 化に苦しめられている。ここまでやっと耐えてきたが、これ以上はどうしようもない津波に遭ったように相次いで日本各地の工場を縮小・閉鎖している。今年に 入って工場閉鎖を行った大企業は10社余りに達する。地域経済も一緒に沈み込んでいる。
パナソニックと東芝が相次いで工場を閉鎖した千葉県茂原市には今年に入って9月までで700人余りの失業者が発生した。人口9万 3000人のこの都市の失業者は今年末までに1500人に増える見通しだ。茂原市の雇用支援センターには再就職しようとする失業者が集まっているが新しい 仕事を探すのは竿竹で星を打つようなもの。工業団地周辺の商店街や食堂もまた、商売にならず廃業する所が続出している。
シャープやパナソニックが大規模整理解雇とともに生産拠点を閉鎖するのはある程度予見されたことだった。サムスン電子とアップルなど 革新的な製品を出す企業に押され競争力を失ったためだ。日本財界の悩みは第2、第3のシャープが続出し、ドミノ現象が起きているという点だ。13日の日本 経済新聞によると、ソニー、富士通、東芝、ルネサスエレクトロニクス、旭化成、TDK、SUMCO、シルトロニックなどが業績悪化に耐えられず相次いで一 部主力工場を閉鎖することにした。まだ終身雇用を重視する日本企業が整理解雇を伴う工場閉鎖を断行するのは一言で行き詰まっているからだ。
なぜここまでなったのだろうか。早稲田大学の長内厚教授は、「日本の電子メーカーの失敗要因は過去の成功経験に捕われ韓国や台湾メーカーなどに技術的 に後れを取るわけがないと慢心したため。日本企業が構造調整と経営合理化だけでは競争力を取り戻すのは難しく見える」と診断した。
日本企業はこうした指摘に努めて目をそらしてきた。業績が悪化するたびに円高のせいにした。だが、専門家らの考えは違う。円高が日本 企業の価格競争力を落としたことは事実だが、根本原因は製品競争力自体がとても弱くなったところにあるという指摘だ。サムスン電子とアップルがスマート フォン市場を掌握した後も、何の革新製品を出すことができない現実がこのような分析を後押しする。
甲南大学の安積敏政教授は「生産拠点を海外に移しても持ち堪えるのが厳しいなら中国や韓国企業に売却して生き残ることも突破口になれる」と話した。
普通でないのは経営業績悪化で工場を閉める業種が電機・電子・ITにとどまらないでいるという事実だ。日本の最後の自尊心という自動 車や化学などの分野まで揺らぐ兆しを見せている。従業員の配置転換を決めた旭化成と日野自動車がその例だ。慶応大学の池尾和人教授は、「いまからでも韓 国・中国と差別化された産業構造に切り替えれば沈滞から抜け出せる」と話した。