[ニュース分析]終戦宣言を超えて平和体制へ…
「多国交渉」の新たなカード切り出した
朝鮮半島問題の新たな解決策提案した金委員長
交渉主体「停戦協定の当事者」と明示
対話テーブルへの中国の参加を強調
非核化・平和体制・南北関係の進展
三軸を好循環的に進める意志示す
南北合意には「事実上の不可侵宣言」
韓米訓練・戦略資産の搬入の中止を要求
韓国には「演習再開へのブレーキ」求める
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が1日、新年の辞で、朝鮮半島平和体制の構築への強い意志とともに、停戦体制を平和体制に切り替えるための多国間交渉を提案した。韓国に対しては、昨年の南北首脳会談の結果物を「事実上の不可侵宣言」と意味づけし、韓米合同軍事演習を許可しない具体的な役割を果たすことを求めた。米国と非核化交渉を進める過程で、朝鮮半島周辺国が参加する平和交渉と南北が主導する軍事的緊張の緩和を通じて、体制安全を担保する考えを示したものと見られる。
金委員長は、昨年の南北首脳会談の成果と軍事的緊張緩和を肯定的に評価する部分で、多国間交渉に言及した。朝米非核化交渉に関する内容よりも前に配置した点で、朝鮮半島平和体制の構築を非核化交渉の結果と見る米国の見解とは多少異なる。非核化と共に、平和体制の構築と南北関係の進展を同時に好循環的に進めていこうとする意志をほのめかしたと言える。
金委員長の多国間交渉の提案は、南北が4・27板門店宣言で、「停戦協定締結65年になる今年、終戦を宣言し、停戦協定を平和協定に転換し、恒久的かつ堅固な平和体制構築のための南北米3者または南北米中4者会談の開催を積極的に推進することにした」と明らかにしたことの延長線上にある。昨年、終戦宣言の推進を過度に強調したことが、むしろ朝米非核化交渉に障害になった点を考慮し、これを包括する平和交渉へと進もうという提案と見られる。
金委員長は多国間交渉の主体を「停戦協定当事者」と明示した。平和交渉の全体過程で、中国の参加を前提にしている。朝鮮半島情勢の変化に建設的役割を約束する中国に配慮しつつ、米国を牽制しようとする意図が読み取れる。匿名希望の元高官も「終戦宣言と平和協定の締結をめぐり、3者または4者という言葉が使われていることを考慮し、多国間交渉に置き換えたものとみられる」とし、「中国の立場に配慮したもの」だと説明した。
金委員長は朝鮮半島平和体制の構築過程で、韓国に責任ある役割を果たすことを求めた。特に「外勢(米国)との合同軍事演習をこれ以上認めてはならず、外部からの戦略資産を含む戦争装備の搬入も完全に中止すべきだ」と明らかにした。韓米は昨年、乙支フリーダムガーディアン、ビジラント・エースなど合同演習を猶予し、戦略資産の搬入も自制した。今年上半期に予定された大規模な野外機動演習であるトクスリ演習の規模も縮小する案を協議している。にもかかわらず、金委員長が韓米合同軍事演習の中止と戦略資産の搬入禁止を要求したことは、米国が非核化交渉が進められる間に合同演習を再開しないよう、韓国がブレーキをかけるべきということを強調したものと見られる。南北関係を安全弁に設定したわけで、文在寅(ムン・ジェイン)政権としては肩の荷が重くなった。しかし、金委員長はこうした要求を「主張」だとしており、南北関係の“前提条件”にはしなかった。
金委員長は「板門店宣言や平壌共同宣言、軍事分野の合意書は、北南間の武力による同族相争を終息させることを確約した、事実上の不可侵宣言」だと評価した。金委員長が南北軍事合意を朝鮮半島で偶発的な戦争の危険を防ぐ不可逆的な措置として受け止めていることがうかがえる。金委員長は「北と南はすでに合意したとおり、対峙する地域での軍事的敵対関係の解消を、地上や空中、海上をはじめとする朝鮮半島全域に広げるための実践的措置を積極的に取っていく必要がある」と強調した。非武装地帯を中心に行われた軍事的信頼構築の措置を西海平和地帯の設定などに拡大し、実質的な軍備統制段階に進もうという意志を明らかにしたものと見られる。