2024年12月15日(日)
韓国大統領の弾劾可決
市民連日デモ 国会動かす
尹氏職務停止 首相が代行
【ソウル=栗原千鶴】韓国の国会は14日、本会議を開催し、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する2度目の弾劾訴追案を採決しました。在籍議員(300人)中3分の2を超える204人の賛成で可決しました。尹氏の大統領職務は停止され、韓悳洙(ハン・ドクス)首相が代行します。憲法裁判所が180日以内に罷免の妥当性を判断します。
国会前では全国から集まった人々が共に採決を見守りました。弾劾訴追案が可決されたことが知らされると、「ウォー」と地鳴りのような声が響き、抱き合い、喜びを分かち合いました。
市民は連日、全国各地でデモを行ってきました。仁川市に住む大学3年生は「私たち市民が声を上げたからこそ弾劾が実現した。本当にうれしい」と涙をぬぐいました。小学生の子どもと参加した母親は、「民主主義の現場を子どもたちに見せたかった。主権者は国民。当然の結果です」と語りました。
最大野党「共に民主党」幹部は可決を受け、「偉大な国民の勝利だ」と表明しました。
弾劾訴追案は「共に民主党」など野党6党が12日に再提出。尹大統領が3日夜に行った「非常戒厳」の宣言後、国会に軍が投入され、一切の政治活動を禁止する布告が出されたことは、戒厳下での国会活動を認めた憲法に違反するなどと指摘していました。
7日に行われた1度目の弾劾訴追案の採決では、与党「国民の力」のほぼ全員が投票に参加せず、不成立となりました。市民は、退席した与党議員105人に、採決で賛成するよう圧力を強めました。その結果、今回の採決では同党から12人が賛成に回りました。
一方、尹氏は12日に談話を発表し、前言を翻し、早期退陣には応じない意思を表明。「非常戒厳」宣言は「統治行為」だと正当化し、「弾劾であれ、捜査であれ、最後までたたかう」と述べていました。
これを受け、与党の韓東勲(ハン・ドンフン)代表は、弾劾訴追案に賛成すべきだとの立場に転じ、7人の議員が賛成する意向を公表していましたが、尹氏に近い議員が多く、弾劾訴追案に反対の与党の方針は維持されました。