文大統領「北朝鮮が同意すればワクチン供給推進」…
南北対話、再開されるか
国賓としてオーストリアを訪問中の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は14日、北朝鮮が同意すれば北朝鮮にワクチンを供給するとの意思を明らかにした。先月、文大統領は韓米合同軍事演習の規模を調整する余地を残しており、今回の発表は新型コロナウイルス防疫を媒介として対話再開の意志をつないだもので、北朝鮮がどのように反応するかが注目される。
文大統領はこの日、ウィーンのホーフブルク宮殿でファン・デア・ベレン大統領と首脳会談を行った後、共同記者会見で「北朝鮮にワクチンを支援する意向はあるか」という問いに「北朝鮮が同意すなら、北朝鮮へのワクチン供給協力を積極的に推進する。韓国がグローバル・ワクチン・ハブの役割を担う場合は、北朝鮮も当然協力対象となる」と答えた。「米国も北朝鮮に対する人道主義的協力を積極的に支持している」とも付け加えた。文大統領は「発展途上国や低所得国が公平に接種してはじめて、世界はコロナから解放されうる。韓国は米国とのワクチン・グローバル・パートナーシップ合意に則り、グローバルなワクチン生産ハブとなり、ワクチン供給を増やすことで世界のコロナ撲滅に貢献したい」とワクチン供給の必要性に言及した。
文大統領が北朝鮮にコロナワクチンを直接供給しうると述べたのは、今回が初めてだ。文大統領は昨年9月、北朝鮮に対し北東アジア防疫・保健協力体への参加を提案しており、12月にはイ・イニョン統一部長官がコロナ治療薬と診断キットの支援の意思を明らかにしている。しかし北朝鮮は何の反応も示していない。韓国国内のワクチン供給が円滑に進んでおり、「グローバル・ハブ」構想まで具体化していることで打ち出したワクチン支援カードは、南北対話の再開の契機となり得る。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長はコロナ防疫に細心の注意を払い、多角的にワクチン供給を推進しているが、ロシアと中国のワクチンは導入しないことを決めたという。こうした中でこの日、文大統領が「米国も人道主義的協力を積極的に支持している」と言及したことは注目に値する。北朝鮮は安全性がひとまず検証済みの既存のワクチンを好んでおり、ワクチン導入のためには欧米の協力が欠かせないためだ。
この日の共同記者会見を共にしたオーストリアのファン・デア・ベレン大統領も、北朝鮮に対するワクチン支援について「パンデミックは、すべての国がともに取り組まなければ克服は不可能だ。開発途上国、貧しい国など、すべてがワクチンを接種することが重要だ。北朝鮮も同じだ」と同意を示した。ファン・デア・ベレン大統領は「北朝鮮側が(ワクチン支援について)どのような立場なのかはよく分からないが、シグナルがあれば当然支援するつもりだ」と強調した。