みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

鹿児島県議会における「ジェンダーフリー・バッシンク」発言~その後の経過

2005-08-19 23:25:38 | ジェンダー/上野千鶴子
朝から『む・しの音通信』49号の編集と、
わたしの担当ページの原稿書きに追われていた。
気が付くともう夜の11時。
しようがない、ブログには1600字の
通信の原稿を、アップすることにした。
書いたのは、鹿児島県議会における問題発言の経過。
興味のある人はお読みください。

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鹿児島県議会における「ジェンダーフリー・バッシンク」発言に対する行動。
                          事務局・寺町みどり

 6月29日、鹿児島から一枚のFAXが届いた。
 28日(火)の鹿児島県議会・一般質問において、吉野正二郎議員が「ジェンダーフリー教育」批判を展開したとの、南日本新聞(6/29付)の記事だった。さらに、吉岡議員は一般質問の発言中、新聞記者を誹謗し、上野千鶴子さんと大沢真理さんを「ジェンダーフリー推進論者」として名指ししたという。
 記事を一読して、鹿児島県議会でジェンダーフリー・バッシングと看過できない違法が行われていることを知った。同時に、なぜこのような発言が議会で容認され放置されるのか、と疑問に思った。わたしは詳しい状況を知りたいと事実関係を調べはじめた。
 まず、現地の何人かと電話で話し、鹿児島県議会で何が起きているのかを理解した。「鹿児島県議会HP」を開くと、問題の一般質問をビデオ映像で見ることができた。あまりにひどい発言で見ていて気分が悪くなったほど。(詳細については、「申し入れ書」を参照) 翌日の報道では、議会各会派は遺憾の意を表明しただけで放置するらしい。
 今まで議会がこのような「会議規則違反」発言を容認してきたからこそ起きた「事件」なのに・・・。鹿児島県議会の発言を放置すれば、同種の発言が全国に広がるだろう。とても他人事とは思えず、MLで市民派議員や仲間に事実関係と問題点を情報発信するとともに、鹿児島県議会と吉岡議員に対し、「申し入れ書」を提出することにした。
 議会には、「発言の取消し・訂正は当該議会の閉会までしかできない」という「短期時効」のルールがある。鹿児島県議会の閉会日は7月6日。いそがないと間に合わない。
 7月3日(日)、呼びかけ人4人が相談して作成した「申し入れ書」案を、それぞれMLやメールで情報発信して、「申し入れ」に加わってくれる人を募った。
 「転送歓迎」としたためか、情報の流れはおどろくほど早かった。きっとジェンダーフリー・バッシングに対して何か行動したいと思っていた人が多かったのだろう。取りまとめをしているわたしのところに、続々とメールが届いた。
 翌朝までに届いた賛同メールは82件。呼びかけ人に届いた分を合わせると、最終的に142人にもなった。
 この件にかかわっていた上野千鶴子さんが「申し入れ書」の筆頭者になり、4日午後、142人(議員45名・市民97名)8団体の連名で、鹿児島県議会と吉岡議員に対し、「鹿児島県議会でなされた発言にかかる申し入れ書」を速達で郵送した。「む・しネット」は、趣旨に賛同する個人だけでなく、団体としても参加した。ちなみに上野さんは、名指しされた個人としても、発言の削除と謝罪を求めて、鹿児島県議会と本人に「抗議書」を送っている。
 議会運営委員会は、4日に私たちが提出した発言取り消しの「申し入れ」に対して、5日の会議で、「議会としての対応を見送る」ことを決めた。6日の本会議では,議論もされなかったそうだ。
 この「申し入れ」に対する鹿児島県議会の対応はとうてい納得できるものではない。
 「申し入れ書」や「抗議書」などに関して、じっさいに、鹿児島県議会の委員会や本会議で、「何がなされたか、あるいはなされなかったか」「何が議論されたのか、あるいは重要な何について議論されなかったのか」。
 わたしたちは、これらを検証するために、「鹿児島県情報公開条例」に基づいて、実施機関としての議長に、関係文書のすべてを情報公開請求している。請求人は、申し入れ人の5人。文書は現時点で、公開されていない。
 今回のような問題は、程度のちがいはあるけれど、自治体議会で日常的に起きている。 「立法機関」である議会および議員には、みずから法を守る義務と責任があるはすだ。もし議会で違法なことが起きたら、立場を守るために恣意的な判断をするのではなく、違法をただすのは当然ではないか。問題は「小さな芽のうちに摘む」ほうが簡単に解決できる。議会のシステムとルールを熟知し、「法令を遵守し」「民主的なルールで議論する」という基本姿勢があれば、問題はここまでひどくならなかったはすだ。
 それを放置した議会および議員の責任は重い。
(『む・しの音通信』49号より転載)


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