みどりの一期一会

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情報公開で福井県に是正を申し立て、認められる/福井県図書排除事件

2006-06-10 10:28:29 | 「ジェンダー図書排除」事件
ことし初物のキュウリとナスがとれました。
韓国半白キュウリは明方ハムとサラダに。
1年ぶりのキュウリは、パリパリとおいしかった。

 

ところで、昨日に続いて、福井県図書排除関連のお話。

5月2日に、福井県に3人の連名で情報公開請求をしたのですが、
通常2週間で公開するはずが1ヶ月延期され、
その上福井県知事は5月16日に
「公文書公開請求書の補正について(通知)」で
わたしとともちゃんの二人に補正を求めてきました。

わたしたちは、この処分に対して、補正を拒否するとともに、
「連名・一件請求の拒否は法令上の根拠を欠き、違法であり、
かつ、誤った当該の指示に基づいて実質凍結状態におかれた本件請求につき、
5月2日にさかのぼって、連名・一件請求として受理したものとして
権利回復するよう是正を求める」

として「申し立て書」を3人連名で提出しました。
結局、申し立ては全面的に認められました。
福井県は情報公開制度をよく知らないか、
よほどわたしたちに公開したくないのでしょう。

詳しくは、
福井県・一人でしかできなかった情報公開を改める
(てらまち・ねっと6/8)
をご覧ください。

申し立て書・PDF版
以下は、申し立て書の全文です。

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                        2006年6月5日
                        福井県知事 西川一誠 様
                
             申 立 書

 貴職に対する私たちの2006年5月2日付け情報公開請求における連名・一件請求の拒否は法令上の根拠を欠き、違法であり、かつ、誤った当該の指示に基づいて実質凍結状態におかれた本件請求につき、5月2日にさかのぼって、連名・一件請求として受理したものとして権利回復するよう是正を求める。

第1 経過
1. 本件公開請求
 5月2日、今大地晴美が福井県の峰南振興局におもむき、標記3人の連名で福井県の公文書のうちの同一の文書について、情報公開請求したい旨を申し出た。
 これに対して、福井県職員は、連名での請求を受け付けず、同一内容の請求であっても3件の請求とするよう求めた。今大地は、不本意ながら、仕方なく、職員の要求のとおり、同一文書を特定して、今大地晴美本人分1通、他の2通はそれぞれ寺町知正、寺町緑として個別名で提出した。

2. 補正通知
 その後、同月16日付けで福井県知事は、次のとおり記載した「公文書公開請求書の補正について(通知)」(嶺二サ第390号)の文書を今大地晴美に送付してきた。

    1 対象請求
      「寺町知正」名および「寺町緑」名による請求書2通
    2 不備事項(上記1のいずれも同じ)
   ・郵便番号、住所および電話番号各欄の記載漏れ(代理人のもの)
   ・氏名欄における代理人氏名(代理人である旨の表記を含む。)の記載漏れ
   ・委任状の未提示
    3 補正期限
      平成18年6月2日(金)

3. 期限延長
 寺町知正は、通知文記載の照会先に6月1日に電話し、次週5日過ぎに当事者の見解等を書面で提出するとして期限の延期を求め、了解を得た。

第2 情報公開制度における本件扱いの違法性
1. 情報公開制度の基本
 福井県情報公開条例(平成12年3月21日 福井県条例第4号)(以下、「本件条例」という)は、前文において、「・・情報公開制度は、県がこのような『説明責務』を全うするための重要な制度であり、・・県民の理解と信頼を基本とする、公正で透明性の高い県政を実現する上においても、不可欠のものである。」としている。
 (目的)として第1条において、「この条例は、公文書の公開を請求する権利の内容を明らかにするとともに、公文書の公開の手続その他必要な事項を定める・・」としている。
 (実施機関の責務)として第3条において「実施機関は、この条例に基づく公文書の公開を請求する権利がじゅうぶん保障されるように、この条例を解釈し、および運用しなければならない。」としている。
 (公文書の公開を請求できるもの)として第5条で、「何人も、この条例の定めるところにより、実施機関に対し、公文書の公開を請求することができる。」としている。
 何人も福井県政を知るための公文書を請求でき、実施機関は当該権利が保障されるように、この条例を解釈し運用する義務を負う。

2. 請求方法に関する規定
 (公文書の公開の請求方法)として、第6条で次のとおり定められている。
「公開の請求は、実施機関に対して、次に掲げる事項を記載した書面を提出してしなければならない。
  一 公開請求をする者の氏名および住所または居所
  二 公文書の名称その他の公開請求に係る公文書を特定するために必要な事項
  三 前二号に掲げるもののほか、実施機関が定める事項
 2 実施機関は、公開請求書に形式上の不備があると認めるときは、公開請求をしたもの(以下「公開請求者」という。)に対し、相当の期間を定めて、その補正を求めることができる。この場合において、実施機関は、公開請求者に対し、補正の参考となる情報を提供するように努めなければならない。」
 本件条例施行規則においては、 (公文書公開請求書)第2条で公文書公開請求書(様式第一号)を明確にし、(公文書公開決定通知書等)第3条で決定通知書の様式を定めている。
ここで求められている事項は、必須要件は「住所、氏名」であると解される。その理由は、通常どの申請においても、例えば訴状においてすらも、郵便番号の不記載を理由での不受理はなされないし、電話に関しても、電話がない場合は不記載となるから、必須ではなく、実務上の連絡先としての必要性としての任意事項であるからだ。
 公開請求においては押印は要件とされていない。
 結論として、本件条例6条及び同規則に規定する公開請求書あるいは決定通知書において、請求人が複数で同一の文書を特定して請求する場合に、これをそれぞれ別個の請求あるいは処分とすべき旨の定めは無く、一件請求の場合の人数制限等も規定していない。

3. 本件条例における「請求一件」の概念
 (写しの交付部数)に関して、同規則第8条で「公文書の写しを交付するときの交付部数は、公開請求一件につき一部とする。」としているとおり、本件条例は「請求一件」という処分の扱いの概念を明確に有している。

4. 手数料が必要
 公開に際しての(手数料)は、本件条例第17条で「別表の上欄に掲げる公文書の種別ごとに、同表の中欄に掲げる公開の実施の方法に応じ、それぞれ同表の下欄に定める額の手数料を納付しなければならない。」としている。
 今回の福井県の請求人に対する個別に請求せよとの要求は、請求人に本来不要であるところの過剰な負担を強いるものである。

5. まとめ
 以上、今回の福井県の、「同一文書に対する公開請求であっても一人ずつ公開請求書を提出すべき」との要求は、本件条例に定めのない誤った行為であり、法令の根拠を欠く違法な扱いである。
 本件条例は一人以上の者による公開請求を定めているが、その際、複数人連名で一件請求するか、それぞれ別個に請求するかの選択は、請求人側に委ねているのであって、行政機関の判断、ましてやその習慣や裁量に委ねていないのは明白である。

第3 他の法令からみた違法性
 情報公開請求(書)を受理したり、開示あるいは非開示決定することは処分である。
1. 行政不服審査法
 (1) 情報公開請求に対する知事の決定は「処分」である。
 行政不服審査法第1条は、「行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民に対して広く行政庁に対する不服申立てのみちを開くことによって、簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。」とし、第4条「行政庁の処分に不服がある者は、次条及び第6条の定めるところにより、審査請求又は異議申立てをすることができる。」としている。
 同法は、行政機関の恣意を防止し、国民の権利を守ることを基本としている。

 (2) 同法(総代)第11条は、「多数人が共同して不服申立てをしようとするときは、3人をこえない総代を互選することができる。」と定めている。
 これは、連名の複数名宛人に対する同一処分・一件処分にかかる場合の定めである。
なお、同法(決定)第47条3項は「・・ただし、異議申立人の不利益に当該処分を変更することができず・・」としている。そもそも、当事者に不利益となる扱いは忌避されているのである。

 (3) 実態的にも、各種法令にかかる処分に対する異議申し立てや審査請求において、多数人の連名で一件請求することは通常のことである。

2. 行政事件訴訟法
 (1) 行政事件訴訟法は(共同訴訟)として第17条「数人は、その数人の請求又はその数人に対する請求が処分又は裁決の取消しの請求と関連請求とである場合に限り、共同訴訟人として訴え、又は訴えられることができる。」としている。
 本件条例において非開示処分等された場合、別個の処分扱いをすれば、結局は共同訴訟が想定されるところである。
 この際、複数人であっても同一の内容の請求に対しては当然に同一の処分が予定されるのであるから、あえて別個の請求をさせて、それに対し別個の処分を行い、結果として、請求人に共同訴訟をさせるという不便を強いるべきではない。そのようなことは、本件条例の制定趣旨にも反する。

 (2) 同法(原告適格)第9条「処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴えは、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができる。」としている。
 本件条例においては、同一の内容の請求に対しては当然に同一の処分が予定されるのだから、処分取り消しの訴えにおいても同一の法律上の利益を有するものであり、あえて別個請求・別個処分とする必要性も合理的理由もない。

3. 地方自治法
 地方自治法第242条に定める住民監査請求は、「住民は」の規定文言を前提にしい、住民一人からでき、複数人連名で一件請求することも認められている。それぞれ別個に請求することも認められている。

4. まとめ
 以上、関連法規の定めや趣旨からみても、本件における複数人の請求を個別にすべきとの福井県の判断が誤っているのは明らかである。

第4 福井県行政手続条例(平成7年7月14日 福井県条例第31号)
1. 条例の骨子
 第1条「この条例は、処分、行政指導および届出に関する手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における公正の確保と透明性の向上を図り、もって県民の権利利益の保護に資することを目的とする。」としている。
  (定義)第2条 「・・・ 四 処分 行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいう。 五 申請 条例等に基づき、行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいう。 六 不利益処分 行政庁が、条例等に基づき、特定の者を名あて人として、直接に、これに義務を課し、またはその権利を制限する処分をいう・・・」とされている。
 (申請に対する審査、応答)第7条「行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、かつ、申請書の記載事項に不備がないこと、申請書に必要な書類が添付されていること、申請することができる期間内にされたものであることその他の条例等に定められた申請の形式上の要件に適合しない申請については、速やかに、申請をした者(以下「申請者」という。)に対し相当の期間を定めて当該申請の補正を求め、または当該申請により求められた許認可等を拒否しなければならない。」とされている。

2. 形式要件の充足
 しかし、本件情報公開請求において複数人が連名でする請求は、上記第7条でいう「申請の形式上の要件に適合しない申請」ではないのだから、本件補正通知自体が根拠を欠く。
 
3. 処分の基準の有無の観点
 (処分の基準)第12条「行政庁は、不利益処分をするかどうかまたはどのような不利益処分とするかについてその条例等の定めに従って判断するために必要とされる基準(以下「処分基準」という。)を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない。
行政庁は、処分基準を定めるに当たっては、当該不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。」との定めもあるところ、この趣旨に照らしても、本件条例において複数人請求を拒否する基準もないのであるから違法な扱いである。

4. まとめ
 以上、福井県行政手続条例の定めや趣旨からみても、本件における複数人の請求を個別にすべきとの福井県の判断が誤っているのは明らかである。

第5 他自治体の実例
 地方公共団体の情報公開条例や制度の定めに大差は無いところ、連名の複数人の一件請求については連名で一件の処分として扱われている。
1. 岐阜県
 岐阜県は情報公開条例制定当初より複数人の同一連名請求を受け付けている(第1号証/平成11年6月3日付け決定通知書)。
 なお、このような場合に対応するため、規則で定める公開請求書の様式を変更した。具体的には、連絡や送付などいわゆる実務上の連絡先の「連絡先及び通知書の送付先」欄を設け、「担当者氏名」を明記することで潤滑な請求を図っている(第2号証/未記入の公開請求書)。

2. 鹿児島県
 2005年7月8日付け鹿児島県議会議長に対する情報公開請求に関して、5人の連名で請求書を郵送した(第3号証/平成17年8月2日付け決定通知書)。
 当初、鹿児島県側は、「従来より、複数人の請求は別請求として個別請求書の提出を求めてきた」として、個別請求書の提出を電話で求めてきた。それに対して、寺町知正が、本件と同旨の説明を電話で行い、鹿児島県側は後日、当初よりの連名の請求として扱うことを決定し、別紙の開示決定通知書を発した。

3. 三重県
 2人連名の請求に対して同一処分をしている(第4号証/平成17年11月27日付け決定通知書)。
 なお、送付先(請求人の代表的位置づけ)が明示されていれば、是としている。

4. 岐阜市
 112名の連名の情報公開請求に対して同一処分している(第5号証/平成13年9月19日付け決定通知書)。

5. まとめ
 以上、他の自治体の情報公開条例の運用実務からみても、本件における複数人の請求を個別にすべきとの福井県の判断が誤っているのは明らかである。

第6 連名・一件請求、同処分にかかる取消訴訟に関する裁判所の認識
 寺町知正らが本人訴訟で取り組んできた20件近くの情報公開非公開(非開示)処分取消訴訟において、地裁、高裁、最高裁のいずれの段階でも、連名・一件としての情報公開請求行為や連名・一件としての処分における手続の正当性・適法性や決定(通知書)の処分性に関して、裁判所側から疑義や質問の発せられたことは一度もない。
 (なお、当該各種の訴状や判決文、処分書などはhttp://gifu.kenmin.netに掲載中)

第7 補正通知に対する応諾と拒否
1. 恣意を排す
本件複数人が一件請求を求めたことに対する今回の貴職の扱いは不当かつ違法である。本件において、各人別個請求・別個処分とする必要性も合理的理由もない。
 そもそも、本件条例の文理上の解釈からしても、処分の性質からも、他の法令からも、他の自治体の実例からしても、直ちに是正されるべきである。

2. 応諾部分
 本件公開請求に関して、5月16日付け福井県知事の通知(嶺二サ第390号)中、本件条例第6条2項に根拠をおく適法な補正指示は同条1項一号にいう「公開請求をする者の氏名および住所または居所」のうち「住所または居所の未記載」であると判断するので、住所(及び郵便番号)は速やかに「追記」する形で補正する。
 また、連絡先・問い合わせ等は今大地が担任することは既に意志表示している。よってその電話番号も、すでに記載している。
 以上のことで、複数人同一請求に今後の実務上の差し障りは生じない。

3. 拒否部分
 その余の点についての補正要求は、法令に根拠のない違法なものである。
 よって、標記3名は、前記2項部分以外の補正要求に応ずる義務を負わない。

4. まとめ
 本日時点において、既に情報公開請求の不受理処分がなされている、もしくは行政不作為状態の継続というしかない。
 もし、前記2項の追記後において、なお、当初の時点に返っての本件情報公開請求手続の進行が速やかになされなければ、3人連名における情報公開請求に対する不受理処分の取消を求め、もしくは情報公開請求に対する違法な不作為の是正を求めて法的措置をとらざるを得ないことを表明する。
以 上
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5月2日に公開請求した公文書は、6月16日に公開が決定。
なにが出てくるか楽しみです。


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コメント (2)
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