みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

ドキュメント!福井の冬は大荒れ~不当判決の一日/音声記録情報非公開処分取消訴訟

2008-02-05 19:54:19 | 「ジェンダー図書排除」事件
1月30日の情報非公開処分取消訴訟の判決の記事を書こうと思いながら、
翌々日がつくばみらい市への抗議署名提出日だったこともあり、
画像の整理がなかなかできず、一日延ばしに。
(負けた記事はなんか書きにくいよな~)

午前中に画像を整理して原告の皆さんに
当日のプライベートなツーショットなどの写真を送り、
やっと記事に取り掛かったのがお昼ごろ。
来客があったり、ヤマトに発送に行ったりで、もうこんな時間。
集中力が続かなくて、頭のなかも途切れがち(笑)。

ということで、言い訳と前置きがながいけど、
半分記憶も薄れかけてる判決日のレポートをお届けします。

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1月30日は、8時ころ岐阜を出発。
走りなれた北陸自動車道で一路福井へ。

11時に前に余裕で到着。
福井地裁近くをぐるっと下見して、待ち合わせ場所のお蕎麦屋さんへ。
菅井さんが上野さんを福井駅までお迎え。

お蕎麦を食べながら記者会見の打ちあわせ。
会場の準備をして、複数のテレビ局から原告が
裁判所に入るところを撮りたいということなので、
12時45分ころ地裁前に集合。
原告含めて、ともまささん以外は女性ばかり十数人。

  
被告は↑福井県。県庁に負けず劣らずいかめしい福井地裁の前で、
TVカメラを待たせて、記念写真を撮る原告代表の上野さんとわたし。
もちろん「完全勝訴」を確信していましたよ。

法廷に入ると「開廷前の2分間TVカメラの撮影がある」との説明。

行政訴訟は合議制なので、裁判官は3人。
緊張して待っていると裁判官が入ってきた。
裁判長以外は、前と構成がかわっていて、右陪席も左陪席も女性。
上野さんが小声で「女性がふたりね。若くてけっこう美人・・・」
シーンとした法廷だもの、きっと聞こえてるよ~(笑)。

午後1時10分、「それでは判決を言渡します」。

小林裁判長が判決文の出だしを読み始めた。
「主文。原告の請求を・・・」
あとを聞かなくても、すぐに敗訴が分かった。
マサカの敗訴。唖然ぼーぜん。耳をうたがった。

判決言渡しは、主文で終わらず、裁判長から、
きわめて異例の理由説明があったので、急いでメモした。
いくら丁寧に説明してもらったって、負けは負け。
それにしても、
「音声記録は事実上職員が管理しているだけで、実施機関が管理していると認
められない」という理由は納得できない。

電磁的記録が情報公開条例と福井県文書規程に、公文書と定義されている以上、
音声記録の保管期間や廃棄などの方法を規定するのは当然のこと。
それがなされていない福井県のずさんな公文書(電磁データ)の管理の現状を、
司法が「事実上職員が管理しているだけ」と追認しただけの不当判決だ。

判決を傍聴していた新聞記者たちも、一様に釈然としない雰囲気。
判決の説明は「記者会見でします」と伝えて、
わたしたち原告も、会場を『福井青年館』に移動。

午後1時45分から、記者会見が始まった。

取材に来たメディアは、朝日新聞、共同通信、中日新聞、産経新聞、
日刊県民福井(2人)、毎日新聞(2人)、福井新聞(2人)、
テレビは、NHK福井、福井テレビ、福井放送。
原告は7人、集会参加者は全部で60人ほど。

件の「近藤さん」も裁判所にも、記者会見会場にも来ていた。

冒頭の事務局からの「訴訟に至る経過説明」を体調不良で、
原告で敦賀市議の今大地さんに代わってもらって、
わたしは気楽な一参加者に。

判決文の要旨は以下のとおり(全文は改めて掲載します)。

主文「原告の請求をいずれも棄却する」
P10
「・・・・本件情報公開条例にいう「管理」とは、当該文書を当該実施機関が現実に支配、管理していることを意味するものと解すべきであり、「管理」該当性の判断にあたっては、実施機関における当該文書の根拠規定、保存に至る手続き、保存の方法等の実態について検討すべきである(最高裁判所平成13年12月14日第二小法廷判決。判例時報1772号37頁参照。以下「平成13年判決」という。)。
(5)「管理」に係る原告の主張の要旨は、公費により購入された記録媒体に記録する方法で職務の遂行上作成され、また職務上使用されているという事実状態をもって、実施機関が、組織として上記電磁的記録を「保管」しているというべきものであるというものである。
 しかしながら、実施機関において事実上保管されているすべての文情報公開が公開の対象になると解すると、未整理の情報についても公開の対象となるなど、かえって県政の公平な運営の確保を図るという本件情報公開条例の目的が阻害されるので、原告の主張を採用することはできない。」
P11
「・・・・本審議会の会議録はその要約が作成されており、本件音声記録については保管事務手続きの実施要領等の定めがあるとはいえず、本件審議会の会議録が作成された後は、担当職員によって同記録の内容の消去が予定されていたのであり、記録の整理、保管、保存および廃棄について、同記録が文書規定等に基づいて保管されていると評価されるものではない。
 これらの事実からすれば、本件音声記録は、担当職員が同会議録作成のための備忘として録音して所持していたものに過ぎず、実施機関において「管理」している文書であるとはいえないので、上記②の用件をみたさない。」
P12
「エ したがって、本件音声記録は、実施機関である福井県知事において「管理している」文書であるとはいえず、本件情報公開条例にいう「公文書」に該当しない。
よって公開の対象となる公文書が不存在であるとした本件非公開決定は適法である。」

 
今大地さんの報告のあと、
選定当事者当事者のともまささんから、
判決の解説と選定当事者としてのコメント。

 「判決は、『備忘として、録音し保管していたものに過ぎず、県が管理していたものと言えない。議事録を作るためだけであって、県の文書の位置づけにはない』というが、H13最高裁判決、実施機関による保存の実態を考慮すべき。保存が予定されているものなのか、廃棄が予定されているものなのか、考量する必要がある。判決は、管理を狭くとらえている。音声記録は職員が議事録作成中に公開請求をしたので、職員が管理していたもの。福井県の情報公開条例は決済・供覧を外しているので、当然、最高裁判決に照らしても公開すべき。」と批判した。

原告代表の上野千鶴子さんからは「勝訴を確信しておりました」との第一声。
続いて、次のように判決の問題点を指摘した。

1)情報公開の流れ、IT化に伴う記録の電子情報化の流れの両方の時代の流れに逆行する保守的な判決。
2)最高裁の判例は、時代が古く、電子情報化の流れはそれ以降急速。福井地裁は時代をリードする参照例となる判決の絶好の機会を逃した
3)福井県の判断が「適法」であったことを法廷が認めたのだから、メンツが立ったでしょ、この際「非公開処分」を「変更」したら?過去に何度も「処分変更」したんだから。(そうすると裁判による法的利益が自然消滅するので、裁判を維持する必要が無くなる)
4)県が対処する可能性は 請求されるような電子情報はこれからとらない
→そのことによって、記録の精度が落ちる、または これで電子情報を「非公開」にできる
→安心して県が「隠蔽体質」に走るのがいちばんこわい。それを監視するのは福井県民の役割だ
5)指定管理者制度の導入に伴い、事業者の選定や査定評価、再契約などの過程が不透明になることが懸念されている折から、自治体行政の透明性・公開性を拡大する必要がある時期に、こういう後ろ向きの判決はきわめて残念だ。


最後に、「条例の運用にかかわる判決。承服することはできない。
原告団は控訴します。」と上野さんがかっこよく結んだ。

記者会見のあと、2時45分からは、
「上野千鶴子さんからのメッセージ いまバックラッシュは・・・」の講演。
現在進行形で起きている松山やつくばみらいのことや、
バックラッシュの(歴史的)背景など、約50分間の講演は聴き応えがあった。
原告がテープ起こしをしているので、詳細はしばらくお待ちを。

集会後、原告の5人は福井でお泊り、お楽しみの蟹と温泉に直行。

お宿は「女性に大人気」の割烹旅館「越前満月」。 


  

「越前満月」は、年末に泊まった鷹巣荘から源泉をもらっているとのこと。

温泉に目がないわたしたち、まずは源泉のある鷹巣荘に入りに行くことに。
海岸沿いの鷹巣荘の露天風呂は、風囲いもしてあっても、
びゅうびゅうと風が吹きつけて吹き飛ばされそうで、めちゃワイルド。
名物の夕陽を見るどころか、暗雲立ち込め大荒れの日本海を見ながら、
上野さんと今大地さん3人並んで、ぬる目のお湯に約30分、
首まで浸かっておしゃべりしてました(笑)。

戻ってから、少しあとに着いた菅井たちと
また「越前満月」のお風呂に入り直し、のぼせ気味。
すっかりふやけてから、お待ちかねの越前ガニです。

蟹に目がない女性5人は、
【評判!かにつくし膳】焼きがに・かに刺し絶品! 】
 極上の越前かに一杯を使って、カニ刺し、焼きガニ、ゆでかに
 かに鍋、かに雑炊と越前かにを食べ尽くす「かにづくし」プラン
  

  

ともちゃんは、一人だけ蟹ではなくて、
【 ロングセラー人気No1!月替わり懐石プラン 】
  

  

ともちゃんから、料理の差額で「お刺身舟盛り」の差し入れ。


勝利の美酒、というわけにはいきませんでしたが、
提訴から判決までの約1年間の労をねぎらい、
おいしい蟹と温泉とおしゃべりで、楽しい一夜でした。

体調の心配もあったのですが、疲れていたのかよく眠れて、
翌朝はひと風呂を浴びて、朝食。

それぞれ仕事に復帰、と忙しいことです。

JR福井駅で、朝刊各紙を買い求め、今大地さんは福井県庁で調べ物。

地裁では負けたけれど、また高裁、最高裁とあります。
仕切りなおして、いざ名古屋高裁金沢支部へ。
控訴期限は2週間です。

今度は金沢でおいしいあまえびが待ってますよ〜。
高裁は絶対勝つぞぅ!


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最後まで読んでくださってありがとう
2008年も遊びに来てね 
 また明日ね
 

コメント (1)
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