みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

こうのとり追って:第3部・不育症/1「また流産」原因不明6割超/2「血栓予防に」朝晩注射

2011-08-24 21:04:35 | ほん/新聞/ニュース
母のお葬式が終わって、ほっとしたのか、
帰ってきたら、体のあちこちに蕁麻疹のような発疹が出てかゆくなりました。
着なれない化繊の喪服を着たからかもしれません。

副作用に「ねむけ」があるのを承知で「ザジデン1mg」を飲んで寝たら、
クスリが効きすぎて、今日の夕方まで爆睡。

起きていたのは、昼ご飯を食べた時だけ。
午後のコーヒーも効果なし(笑)。
とはいえ、寝るだけ寝て起きたら、疲れもとれてすっきりしました。

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ここ数日でたまった新聞を読んでいたら、
毎日新聞の五味香織さんが記事を書いていた「こうのとり追って」の
連載が再会されていました。
「こうのとり追って」の第3部は「不育症」。

昨日に続いて、今日も掲載されていたので、紹介します。

 こうのとり追って:第3部・不育症/1 「また流産」原因不明6割超 

 ◇不安抱えつつ「次こそ…」 多くは無治療で出産
 自転車をこぎながら、涙が出た。「なんでまた……」。4年前の夏、東京都練馬区の主婦、竹川可愛さん(39)はおなかの子供の心拍が確認できず、流産の処置を受けるため病院に向かっていた。流産は3回目。妊娠中は自転車に乗らない方がいいと聞き控えていたが、もう関係なかった。
 夫の浩司さん(41)は妊娠の知らせを聞く度、喜びより先に「まただめかも」という不安を抱いてきた。4回目の妊娠。新しくかかった産院では過去のことを告げなかった。しかしまたも「心拍が弱い」と言われ、小さな命は育たなかった。可愛さんは初めて「自分たちの体に原因があるのでは」と思い、09年春、夫婦で慶応大病院の不育症外来を訪ねた。
 子宮の状態を調べ、何種類もの血液検査も受けたが3カ月後、「異常なし」と言われた。浩司さんは落胆した。「問題があれば治療できる。子供を望めないのなら、あきらめもする。何も分からないとは……」
 「不運が重なったのでしょう」。慶大専任講師の丸山哲夫医師は説明した。流産の約8割は胎児の偶発的な染色体異常が原因とされ、たまたま繰り返すこともある。4~5回流産しても半数以上が出産できたという調査もあり、丸山医師は、「次はうまくいくと思います」と励ました。
 もう一度がんばろうと思った可愛さんだが、テレビに赤ちゃんが映ると無意識にチャンネルを変えた。妊婦を見かけるのがつらくて、体調を整える薬をもらいに行っていた産婦人科医院から、足が遠のいた。
    ◇   ◇
 妊娠はするものの、流産や死産を繰り返す状態を不育症という。原因は子宮の形の異常や、血栓ができて胎児に栄養が届かないといった母体の問題のほか、カップルの染色体異常がある。だが大半は原因不明で、効果的な治療方法はない。
 不安のあまり、治療を望む患者も少なくない。
 4回流産した長野市の主婦(33)は今春、横浜市内の不育症の専門クリニックで検査した。異常は見つからなかったが、次に妊娠したらここで治療を受けたいと考えている。
 不育症はインターネットで知った。地元の産婦人科医に相談すると、首をかしげながら専門書を開き「(血流を良くする)アスピリンを服用すれば大丈夫じゃないか」と言うだけだった。毎日薬を飲み続けたが、昨年末に4回目の流産に至った。友達は次々と出産していく。年明け、赤ちゃんの写る年賀状を見て、号泣した。
 横浜のクリニックには新幹線で片道2時間半かかる。それでも「何も治療しないではいられない。もう二度と、流産の処置は受けたくないんです」。
 一方、愛知県稲沢市の主婦(32)は、治療せずに妊娠にのぞむ道を選んだ。
 4回目の流産後の09年秋、名古屋市立大病院で検査を受けたが、原因は不明。どうしたらいいのか戸惑ったが「薬を服用しても効果があるかわからない」と主治医に言われ、納得した。
 前向きになりたい、とカウンセリングを受けた。その後も1回流産したが今春、6回目の妊娠が分かり経過は順調だ。大きくなることが想像できなかったおなかが、せり出していく。男の子とわかり名付けの本も買った。
 積極治療すべきか否か。専門医でも治療方針は分かれる。不育症は、主に血液検査で病気や血流障害があるかどうか調べる。だが独自の検査項目を設けて原因を探ったり、異常のない患者にも希望があれば薬を処方する医師もいる。
 名市大教授の杉浦真弓医師は「体調によって結果が変わる検査項目もある。不育症は治療をしなくても出産できる人が多く、過剰な治療は患者の負担が大きい」と強調する。丸山医師も「生殖医療は次世代にも影響するので、治療は十分な検証が必要だ」と語る。
 厚生労働省研究班の報告では、原因不明だった患者の57%が無治療で出産している。
    ◇   ◇
 今春、慶大病院の診察室を出てきた竹川可愛さんは泣いていた。「またダメか」と顔を曇らせた浩司さんに、涙をぬぐいながら言った。「赤ちゃんの心臓、動いてるって」。5回目の妊娠で初めて、心臓が力強く打つのが画像で確認できたのだ。
 今、赤ちゃんの胎動でおなかが動く様子を日々、夫婦で見つめている。秋には出産予定だが、まだベビー用品を一つも購入していない。「もしもまた流産した時、物だけが残るのはつらい」という。二人の心の片隅には、常に不安がある。
 「子供は授かり物と言うけれど、本当にそう思う」と可愛さん。10年近く待ち続けたわが子と会える日が近づいている。
    ◇   ◇
 どんな治療をすべきか、専門医の間でも模索が続く不育症。流産を周囲に明かせない人も少なくなく、患者のサポートも不十分だ。経験者や専門医の話から、課題を考える。=つづく(五味香織、下桐実雅子が担当します)

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 ■ことば
 ◇不育症
 厚生労働省研究班(08~10年度)は今年3月、「2回以上の流産、死産、あるいは早期新生児死亡の既往がある場合」と定義づけた。妊娠経験がある女性の4.2%に起きるとみられ、毎年約3万人の患者が発生していると推計される。研究班の報告では原因不明が65.3%を占める。手術や投薬で効果が見込めない場合は複数回の妊娠で出産を目指すしかない。
毎日新聞 2011年8月23日 


 こうのとり追って:第3部・不育症/2 「血栓予防に」朝晩注射 

 ◇腹部あざだらけ 流産の要因多様…「でも頼るしか」
 リビングの片隅に、細い注射器と透明な液体が入った小瓶がある。傍らのポリ袋には使用済みの注射器が詰め込まれ、パンパンに膨らんでいる。
 東京都港区のフリーライターの女性(36)は1日2回、自分でおなかに注射を打つ。注射痕のしこりが増え、針を刺す場所を探すのが難しくなってきた。痛みも引かないが、「妊娠が維持できているのはこの薬のおかげ」と信じる。
 注射薬は血栓を防ぐ「へパリン」。子宮や胎盤の血流が悪いと、胎児への栄養が滞って流産のリスクが高まるとされ、女性は朝晩の注射を欠かさない。
 30歳から不妊治療を受け、08年と昨夏に妊娠したが、いずれも8週で流産した。担当医には「2回の流産は珍しくない」と言われたが、不育症専門クリニックを受診すると、血液が固まりやすいことが分かった。3度目の妊娠が分かった直後で、すぐに、へパリンを処方された。
 重いつわりで食事がとれず、起き上がれない日でも、注射は続けた。血栓予防に効果があるアスピリンも併用し、現在は妊娠6カ月。出産予定の病院と不育症クリニックに交互に通う。
 診察台に上がる時は、今もドキドキする。「順調です」と言われると、妊婦の仲間入りができたことに、不思議な気持ちになる。
    ◇   ◇
 不育症の一因として、血液が固まりやすい血栓症が注目され始めたのは約10年前。血液中の「抗リン脂質抗体」が代表的な原因で、心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞のリスクを高めるだけでなく、流産を招きやすいことが分かってきた。
 不育症専門の杉ウイメンズクリニック(横浜市)の杉俊隆院長は「胎児に栄養素や酸素を与える胎盤は、血流が遅いため血栓ができやすい。注射を怖がる人もいるが、薬の治療成績は良い」と語る。
 血液を固まりにくくする「へパリン」だが、軽い肝機能異常や骨がもろくなるなどの副作用の可能性もあり、定期的に医師の診察を受けながら注射する。
 神奈川県伊勢原市の女性(37)も「注射痕であざだらけ」という。長女(4)を出産した後、09年から4回流産を繰り返した。2人目をなかなか授からない「続発性不育症」だった。
 専門医の検査で、血液凝固に関わるたんぱく質「第12因子」の欠乏など3項目で正常値を外れていた。長女が出生時に体重2500グラム弱と小さめだったのも、「血流が悪かったためだろう」と医師に言われた。
 「流産で亡くなった子たちと一緒に逝きたいと何度も泣いたが、娘の存在が私を助けてくれた」。今年5月に妊娠が分かり、朝晩のへパリン注射を始めた。妊娠5カ月に入り、医師から「もう打たなくても大丈夫」と告げられたが、「またうまくいかなかったら」と不安で注射をやめられない。
    ◇   ◇
 「医師によって考えは違う。結局、治療方法を選ぶのは患者自身だった」と、宇都宮市の派遣社員(34)は振り返る。
 不育症の検査で、血液を固める血小板が多めと分かり、へパリンとアスピリンによる治療を決めた。だが薬は分娩(ぶんべん)時などに出血量が増える恐れがあるとして、これまで通っていた不妊治療クリニックでは、ヘパリンなどを使う患者を受け入れない方針だった。派遣社員は別の病院の処方で薬を使いながら、クリニックには黙っていた。
 26歳で結婚後、5回流産を繰り返し、6回目の妊娠もトラブル続き。子宮口が開いてしまい、24週から出産まで入院を余儀なくされた。「ヘパリン、アスピリンに続いて早産予防の点滴も受け、薬ばかりで子どもに影響はないのか」。不安を抱えながらも今年3月、男児を出産した。子どもの笑顔を見るたび、「苦労が報われた」と感じるという。
 ただ、血栓を防ぐ治療で必ず出産できるわけではない。2回流産した東京都江東区の女性(38)は大学病院の検査で、抗リン脂質抗体などが原因と説明され、アスピリンの服用を始めた。09年に3回目の妊娠が判明し、へパリンの注射も始めたが、まもなく流産した。
 胎児には染色体異常が見つかり、投薬では流産を防げなかったとみられる。女性の夫(38)は「流産にはいろいろな要因があるのだと思うけれど、現状では血栓予防の治療に頼らざるを得ない」と複雑な思いを口にする。
 あきらめかけていた今年、4回目の妊娠をし、朝晩のへパリン注射を再び続けている。「だいぶ慣れたが、注射は怖い」と女性。夫は毎回の注射後に「ありがとう」と言葉をかけ、妻をいたわっている。=次回は26日

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 ■ことば
 ◇血栓と不育症

 流産と関連がある「抗リン脂質抗体」は、血液を凝固させて血栓をつくる作用がある。血流を悪くする他の要因として「第12因子」や「プロテインS」の欠乏なども指摘され、日本人に多いことが分かってきた。厚生労働省研究班のまとめでは、不育症を起こすリスク要因のうち血流に関わるものが少なくとも4分の1を占める。同研究班は「原因は人それぞれだが、検査や治療で85%の不育症患者が出産にたどりつける」としている。

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 ■不育症の検査(厚生労働省研究班が3月にまとめた治療指針による) 1次検査(不育症と十分な関連性がある項目)
▽子宮卵管造影検査や超音波検査(子宮の形を調べる)
▽内分泌検査(甲状腺機能、糖尿病の血糖値)
▽夫婦の染色体検査
▽抗リン脂質抗体の一部
 選択的検査(不育症との関連性が示唆された項目)
▽抗リン脂質抗体の一部
▽血栓性素因(第12因子、プロテインS、プロテインCなど)
 研究段階の検査
免疫学的検査
▽ストレス評価など
毎日新聞 2011年8月24日 


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