熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

果因

2007-07-26 13:58:45 | Weblog
私の研究者時代の上司で、技術部門の最高責任者だった方が、常々おっしゃっていた言葉です。

技術者にとって大事なことは「因果」ではなく、「果因」である。これは説明が必要ですね。
普通の考えでは「因果」、原因があって結果が生ずる、すなわち、原因から結果を考えるというアプローチをとる人が多いと思います。

これに対して、「果因」、結果から原因を考えるというアプローチが技術者にとって大事な考え方であるというものです。
すなわち、事実・現象である結果を慎重に観察・分析して、原理・原則である原因を特定するという考え方です。

「因果」という演繹的アプローチだと、原理・原則に反する結果が得られた場合、この結果は誤りであると考え、結果を疎かにしがちである。

これに対して「果因」という帰納的アプローチでは、結果を素直に受け入れるので、原理・原則に合わない結果が得られた場合、結果と原理・原則との差異は何かを考えて、新しい原理・原則を見出す可能性があります。

技術者に大事なことは、結果を素直に観察し、分析することが重要であるという教えは、その後の研究活動、知財活動の基本的な考え方として、大変役に立っています。

優れた先輩との出会いが、その後の人生に大きく影響することを実感しているこの頃です。


*演繹(えんえき、ラテン語 deducere)は、一般的・普遍的な前提からより個別的・特殊的な結論を得る推論方法である。
演繹の導出関係は前提を認めるなら絶対的、必然的に正しい。ただし、実際的には前提が間違っていたり、適切でない前提が用いられたりして、誤った結論が導き出されるケースが多い。

*帰納(きのう、Induction)法とは、個別的・特殊的な事例から一般的・普遍的な規則を見出そうとする推論方法のこと。
帰納においては前提が真であるからといって結論が真であることは保証されない。



ブログランキングに参加しています。よろしければ、以下のURLから投票して下さい。
日記@BlogRanking
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする