熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

改善と改革

2007-09-04 08:28:53 | Weblog
大丸と松坂屋が経営統合しました。
この経済統合は、改善と改革を考える良い事例です。

私の理解では、改善と改革は従来の業務を見直して良い方向に変えていく点で共通していますが、改善は、従来のシステムの根幹を大きく変えずに業務の見直しを行うのに対して、改革は、従来のシステムの根幹を大きく変えてしまう点で相違しています。

時系列で見ると、改善活動を積み重ねて業務改善を図っていき、改善ではどうにもならないような外部変化等があったときに改革に着手する、ということでしょうか。

大丸と松坂屋との経営統合は、まさに改革です。
その狙いは首都圏戦略にあるそうです。

松坂屋上野広小路店の婦人靴売り場に大丸で実績を上げた管理者が赴任してきて、大丸流の改善を行っていることがニュースで放送されていました。
これは、大丸にとっては業務改善ですが、松坂屋にとっては業務改革です。
業務改革を行うときに難しいのは、その組織のトップを変えなければいけないことです。
これは、かなり辛い決断です。

私も、業務改革に関して鮮明に記憶していることがあります。

それは、30年以上前の品質監査部門の業務改革です。
当時、この部門は先進的な監査をすることで社内外で評判を得ていました。
この監査システムを作り上げたのは、監査部門の責任者で、かなり優秀な人でした。

しかし、この優れた監査システムも外部環境の変化により綻びが見えてきて、問題点が明らかになってきました。
システム開発の責任者も問題点を認識して、業務改善を行いましたがその効果は現れてきませんでした。

統括部門の責任者は、この事態を早急に改善すべく、監査部門の責任者に変えて新しい責任者を任命しました。
新しい責任者は、従来のシステムを根本から変更する新しいシステムを導入し、問題点を完全に解決しました。

この事例での教訓は、どんなに優秀なシステムでも時の経過と環境変化により大きく変更しなければならなくなり、そのシステムの変更を行うためには、責任者の変更が必要であるということです。

システムが優秀であればあるほど、そのシステムを作り上げた人は、システムに対する思い入れとプライドがあるのは当然です。
したがって、自分で作り上げたシステムを根本的に変更することは不可能に近いと思われます(システムを大きく変更することは、自分の仕事を否定することになるからです)。

企業のトップの役割は、このような状態に至った場合に責任者を変更して新しい適任者を任命することです。
これは、かなり辛い決断ですが、このような決断ができないような経営者は去るべきでしょう。

大丸と松坂屋の経営統合は、いろいろと考える機会を与えてくれました。



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