熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

中小企業の特許戦略

2010-08-25 22:36:10 | Weblog
東洋経済オンラインで「中小企業の特許戦略」の記事を見つけました。

http://www.toyokeizai.net/life/column/detail/AC/c06324299fd62b42ed1be6ff83615c4d/


岡野工業は、技術力が命の町工場です。
このような中小企業にとって、特許戦略はとても重要です。
「特許さえ取ればこっちのもの」「大企業と同様の特許出願活動をしていればOK」と思っている人もいるようだが、それは大きな勘違いです。

岡野工業の社長さんは、本音を語っています。
「特許を取ってもひどい目に遭っている人を何人も見てきている。ウチみたいな小さな町工場は、単独で特許を取っても何の意味もないんだ。」ということです。
つまり、中小企業の特許権を侵害していることを百も承知で商品化して、中小企業が特許権侵害で訴えると、弁護士を多く雇って裁判を長引かせ、中小企業の体力を奪い、和解に持ち込む等の事例があるそうです。

大企業の知財部門に勤務していた私には、耳の痛い話です。

この社長さんは、大企業と共同出願するという戦略を取っているそうです。
それにより、宣伝効果と共同出願相手の大企業による他社の侵害排除を実現しているそうです。
これも立派な特許戦略です。

私も中小企業の知財コンサルティングをしていますが、その経験から言えることは、中小企業の特許戦略は、各企業のビジネス状況に対応して立案することが重要で、定型パターンは通用しないということです。

特許戦略の基礎を勉強するのは良いことですが、実務経験を多く積んで、実践的なコンサルティングを勉強しないと、特許戦略の効果は上がらないでしょう。

中小企業の特許戦略で、特に注意すべき点は、実行段階です。
特許戦略だけ立案して、実行は相手企業任せでは、効果は上がりません。
中小企業は、人材が不足していますから、コンサルタントが自ら実行しないと効果は期待できないでしょう。
つまり、口先だけのコンサルタントは必要ないということです。
これが中小企業の社長の本音です。

クライアントの本音に耳を傾けられるコンサルタントが、最後に勝利を掴むことになるでしょう。

それにしても中小企業の知財コンサルティングは難しい。
これが本音です。



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