熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

マタニティー・ハラスメント訴訟

2014-11-02 21:00:44 | Weblog
最高裁は10月23日、妊娠を理由にした職場での降格は、原則として男女雇用機会均等法が禁じる不利益処分にあたり違法だ、とする初めての判断を示しました。

例外となるのは「自由な意思に基づいて本人が同意した場合」と「業務を円滑に進めるうえで特段の支障が生じる場合」との基準も明示しました。

原則違法とした最高裁の判断は画期的ですね。

例外があるので、実効性には疑問があるという声もありますが、例外は厳格に解釈するのが法的解釈の常識なので、「自由な意思に基づいて本人が同意した場合」は会社側の圧力の有無について厳格に判断されるでしょうし、「業務を円滑に進めるうえで特段の支障が生じる場合」もあらゆる対抗策をこうじても特段の支障が出る場合しか例外を認めることはないでしょう。

妊娠や出産による職場での嫌がらせへの大きな抑止力になりますね。

第一小法廷(桜井龍子裁判長)はこの日、「女性の同意はなかった」と認定して、女性の敗訴とした二審判決を破棄し、広島高裁に差し戻す判決を出したことから、女性が逆転勝訴する可能性が高まったと言えますね。

裁判官5人全員一致の意見ということも大きいですね。

「裁判所は弱者の最後の砦」と言われています。

今回の判決以外にも障害者、低賃金労働者等の弱者の最後の砦となる判決を出して欲しいですね。

最高裁、アッパレ。








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共同研究

2014-11-01 19:56:31 | Weblog
企業と大学との共同研究についてのコンサルティング、セミナー講師、論文執筆をしていますが、共同研究の成果の活用で常に問題となるのが、いわゆる不実施補償です。

不実施補償とは、企業と大学との共有特許がある場合に、大学は実施機関でないので、共同研究の成果を実施して収益をあげることはできません。

そこで、大学が企業に対して要求するのが不実施補償という名目のライセンス料です。

企業が独占的に実施する場合は、独占的利益の額に応じて金銭を支払うことは問題ないのですが、問題となるのは非独占に実施に対しても不実施補償を要求されることです。

この頭の痛い問題について朗報がありました。

それは、「産業技術総合研究所は30日、民間企業との共同研究で生まれた共有の知的財産権の取り扱いを見直すと発表した。これまで企業が非独占的に使って利益をあげた場合、利益の一部を産総研に払わなければならなかったが、11月からこの制度を廃止する。産総研は企業との共同研究が加速すると期待している。」という記事です。

産総研も変わってきたな〜。

記事によると、「産総研は企業と共同研究契約や受託研究契約を結ぶ際、共有知財の取り扱いを決めている。従来は研究の成果である知財を共同研究の相手先に独占的に使ってもらう場合も非独占的に使ってもらう場合も、知財を使わない産総研に「不実施補償料」として支払っていた。
今回、知財を独占的に相手先企業が使用する場合は従来通り不実施補償料を産総研がもらうが、非独占的に使う場合は不実施補償料をもらわないことにした。」ということですから、私が主張している「独占の対価補償」という考え方と同じです。

産総研の新提案は嬉しいですね。

私の論文の効果かな?(そんなことはないでしょうが)。

これで大学の考え方も変わってくれると良いのですが。






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