常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

しめ飾り

2012年12月28日 | 日記


1階の正面玄関に正月用のしめ飾りをつける。相撲の横綱を連想させる太いしめ縄だ。しめ縄は、神の占有する清浄な区域を示すためのもので、これを新年の門戸に吊るして、魔除けにする意味がある。もうすぐ新年になるが、一年がたつののが早いという感慨が先で、正月が待ち遠しいという気分はない。

子供のころは、「もういくつ寝るとお正月」と兄弟で歌いながら正月の来るのを待ったものだ。元旦には雑煮餅が楽しみだったし、何といっても「お年玉」が一番の楽しみであった。親戚の人が新年の挨拶にきて、子どもたちには「お年玉」をくれた。「お年玉」は唯一、貰った子どもたちが、自分の裁量で使えるお金であった。二日の買い初めに兄弟が揃って出かけた。雪道を小一時間かけて町の店に出かける。中学生になったとき、「中学一年生」の新年号を買ったのを誇らしく思ったことは、いまでも忘れられない。その雑誌のなかに、まるでこれからの自分が進む道が示されているような気がして、うれしかったのだ。

それから60年の年月が過ぎ去った。あの中学生のときの思いをふり返るとき、自分の歩んできた道は小さく、日陰の道であったような気がする。本当に自分の裁量で自分の道を歩くのは、これからである。自分の足を使い、身体を動かし、目を注意深くこらし、耳を傾けて見出すことのできる小さなよろこび。そのために大切に使う時間こそが、残された生を生きる意味である。

注連を吹く風に山暮れ町暮れて 山口いさを

コメント
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