
年の瀬だが、夜明けの光が美しい。これから歳末寒気が来るという予報に、ユニクロに行き、フリースジャケットを買ってくる。軽く着こなせて、しかも暖かい。この店が世界中で人気があるのを納得する。すっかり押し詰まって、部屋を片づける。捨てられなかったものを思い切って処分する。心なし、部屋がすっきりしたような気分になる。なぜこんなことに気づかなかったのか不思議だ。
ことしも残すところ一日と少し、家族みなが、それぞれの年越しをすることを確認する。ただそれだけでほっと安堵の気持ちになる。今朝の空のような晴れやかな気で、古年を思いやる。先日採ってきた南天と松に菊の花を添えて、新年を迎える飾りにする。
遺るもの何をか書きし年暮るる 水原秋桜子
歳末に俳人は自らの作品に思いを寄せるが、自分のように市井に生きるものは、書き残すことに価する日を過ごせただろうかと胸に手を当てて見る歳末である。来る年が、もう少し明るい夜明けであることを祈りながら。