
きのう2月14日はバレンタインの日。詩吟の仲間とひとしきり、バレンタインのチョコレートの話になった。皆、職場を離れてしまったために、チョコレートを貰うことがなくなった。可愛そうに思った奥さんが、チョコレート買って渡すのだという。何故、バレンタインの日に女性が男性にチョコレートを渡す習慣ができたのか。それは、チョコレートを売らんがための、メーカーの企みであったのだ。
シェイクスピアの悲劇「ハムレット」に、狂ったオフィリアが歌い出すシーンがある。
あしたはいよいよバレンタイン。
何はともあれ朝早く
乙女のあたしはあなたの窓辺。
いとしあなたのバレンタイン。
バレンタインは3世紀のローマ僧で、2月14日はその殉教記念日である。このころの季節になると、小鳥たちが相手を求め合うようになるという伝説から、恋人同士が手紙交わす風習が生まれたのだという。
けして女性が、男性へチョコレートを贈るというような一方的な風習ではなかったのだ。あげくその翌月には、ホワイトデーという、今度は、男性がそのお返しをする日が、デパートなどの販売拡張のために生まれた。
チャールズ・ラムの『エリア随筆』には、「バレンタインと呼ばれる美しく小さな手紙」と書かれていて、手紙のほかにもプレゼントを交換するようになった。これとて女性からの一方的なプレゼントではないのだ。まして、義理チョコなどという詰まらない風習は、菓子メーカーの企みの乗せられた愚行なのだ。