24節気の雨水にあたる昨日、朝方の雪が午後になって雨になった。この季節になると、大気の温度が上がって、雪や霰に代わって雨が降るようになる。大寒のなかで立春といわれてもぴんとこないが、雨が降ってきて、雨水といえば実にいいタイミングだ。
亭台雨を経て塵沙を圧し
春近くして登臨すれば意気加わる
北宋の詩人が、この季節の雨を喜ぶ詩だ。雨に黄砂が洗い流されて、高台から街がきれいに眺められることに元気を貰っている。だが、現在の中国はどうか。春節を経て、工場の排煙が、大気をこれでもかというほどに汚している。そのなかには、PM2.5いう微粒を含み、マスクを通して容赦なく人間の体内へ侵入する。近代化による人間の欲望が、地球を住みにくくし、雨水を喜ぶ人間の感性すら失われているように見える。
室内のクンシランがほころんだ。一輪の花びらが部屋を明るくする。窓辺の光のなかにほころぶクンシランは、まさに我が心に意気を加える。外は夕べの雨が、朝方雪のなり、うっすらと雪景色になっている。