雪が降るなかを出発。高梨羅沙選手が優勝したジャンプ台を見ながら、瀧山の山頂を目指す。新雪は30cmほどか、ラッセルは膝上まで、ほんの短距離で息があがる。リフトを降りたあたりから、時々青空が顔を見せる。新雪に陽があたると、きれいな雪景色となる。何年ぶりかにぶつかった、最高の雪景色である。
スキー場のゲレンデでは風が強く、粉雪が舞い上がっている。尾根筋にくると、雪庇が長くはり出している。昨日と一昨日降った雪が尾根にぶつかってせり出したのだ。雪庇の下を覗くと、急峻な勾配である。冗談に「ここを踏み外すと大変だね」、「落ちないように気をつけて行ってください」とリーダー。
いつもベランダから見る瀧山である。なだらかな山容だが、裏側から見るもう一つの顔は険しい。その分だけ、神々しい美しさだ。
瀧山頂上から左に、急峻な突起がある。人を寄せ付けないような山容だが、夏は岩を伝って温泉へ下りたこともある。こんな景色にしろ、今日の気象条件を満たさなければ見ることのできない絶景である。雪庇によるアクシデントで、山頂への登攀はあきらめたが、この絶景をみるだけでこの地ヘ来たかいがあったというものだ。
雪嶺の光や風をつらぬきて 相馬 遷子
雪嶺の歯向ふ天のやさしさよ 松本たかし