常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

なだれ

2013年02月22日 | 登山


天気予報になだれ注意報が出るようになった。今年は寒中に暖気が二度ほど来ているので、雪は重いようだ。この絞まった雪の上に、昨日のような新雪が降ると、表層雪崩が発生する。厳冬期の雪山登山で登山者が巻き込まれるは、この表層雪崩である。この週末も寒気が
来るので、雪崩の心配はないが、気温が上がってくると、常になだれには注意しなければならない。

鈴木牧之の『北越雪譜』には、なだれの恐ろしさが書き込まれている。
「我国東南の山々里にちかきも雪一丈四五尺なるは浅しとす。此雪こほりて岩のごとくなるもの、2月のころにいたれば陽気地中より蒸して解けんとする時地気と天気との為に破て響きをなす。一片破れて片々破る、其のひびき大木を折るがごとし。これ雪崩んとするの萌なり。(中略)幾千丈の山の上より一度に崩れおつる、その響き百千の雷をなし大木を折り大石を倒す。此時はかならず暴風力をそへて粉に砕きたる沙礫のごとき雪を飛せ、白日も暗夜の如くその慄しき事筆に尽くしがたし」

自分も4月の」残雪のある春山で、一つ向こうの尾根の残雪が谷に雪崩れるのを目撃したことがある。その轟音は鈴木牧之が言う通り、落雷のようなすざまじさであった。もしそんな、雪崩れの下にいれば、ひとたまりもなく呑み込まれたであろう。

 なだれ  井伏 鱒二

峯の雪が裂け

雪がなだれる

そのなだれに

熊が乗ってゐる

あぐらをかき

安閑と

茛をすふやうな恰好で

そこに一ぴき熊がゐる

コメント
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