雨水を過ぎてから、寒波が次々とやってきている。新庄165cm、尾花沢210cm、肘折320cmこの寒波が来る前の積雪量である。今年は大寒のころから突然の暖気がしばしばやってきた。その暖気を追いかけるようにして寒波がくる。冴え返るとは、春を思わせる暖気を追いやるように、寒さがぶりかえすことである。
冴え返り冴え返りつつ春なかば 西山 泊雲
「冴え返る春の寒さに降る雨も、暮れていつしか雪となり・・・」は、清元「忍び逢う春の雪解け」の歌い出しだ。春を待つ心は、昔も今も変わらない。こんな小唄に節をつけて、冬と春の境にある人の恋心に、その厳しさを忘れようとしたのだ。
先日、新庄の人たちと話す機会があった。親戚のある尾花沢の方が積雪は多いようだが、新庄の雪も半端ではない。「どうですか、雪は」「屋根の雪降ろしをもう2回もやったよ。まったく疲れてしまう。」「去年より多いんですか」「多いなんてもんじゃないよ。雪は1m50もあるんじゃないか。道路の除雪で壁ができたけど、考えたもので、この壁に1m幅の赤い色をつけてくれたよ。これで車の運転も助かっている」
雪籠りしている尾花沢の人たちからは、ひっそりとして音沙汰もない。こちらから、電話をするべきなのか。あまりに違いの冬の世界に、想像力もなかなか及ばない。山形の積雪は30cmというが、わが家の駐車場には、この冬ほとんど雪が積もっていない。