常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

豆打ち

2013年02月01日 | 日記


節分は2月3日だが、その日を先取りするように、各地の神社で豆撒きが始まっている。江戸時代の笑話に、豆まきをした男がどもりで、「フ、フ、フクハウチ、オ、オ、オニハ、ハ、ハ」とやっていると玄関まで出かかっていた鬼がまた戻って来て、「一体どっちなんだ、早く言ってくれ」とせかせたというのがある。豆を打たれて逃げ出すのも憎めないが、聞きなおすのも愛嬌がある。

節分の追儺は、豆の種を蒔く農村で古くから行われた予祝の行事である。鬼が愛嬌のあるキャラを持つようになったのは、病気とか不幸とか社会の負の要素を一人で背負って寒い戸外へ追放される悪役を演ずるものへの同情があったのではないか。

わがこもる部屋に来りて穉児は追儺の豆を撒きて行きたり 茂吉

この歌をできた当時、斉藤茂吉は妻が男友達と遊びまわることが報道され、別居する事件の最中であった。子どもたちの、こんな行動に心を癒されただろうと、北杜夫は書いている。茂吉は、子どもたちの豆まきにも参加した。
「鬼はー外、福はー内、鬼のめんだまぶっちゅぶせえ」といかにも威勢がよかったので、子どもたちは可笑しくて笑った。

天童市の若松寺では、鬼を集めて本尊の観音菩薩の前で改心させる読経を行う伝統行事が行われた。参拝した人々には文禄年間から伝わる牛王加持印を頭や胸に押して、無病息災や家内安全を祈願する鬼やらいの行事である。節分の豆まきで行き所失った鬼たちへの救いの手が差しのべられている。

コメント (2)
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