常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

わた雲

2013年08月27日 | 雲の名


もの干し場で洗濯物を干していると窓の外から風の音が聞えてきた。午後1時ころだ。ふと外を見ると大粒の雨が風に吹かれて室内に入っている。大粒の雨で、ちょっと雹に間違えるほど雨粒が白く見えた。空を見ると、南の空に雨雲があり、北の空は青空だ。南西にかけて雨が降っている。あわてて窓を閉める。雨が風を伴っているのがわかる。

30分ほどで雨は止み、夕方にかけて青空にわた雲が浮かんだ。南の空に積雲がやや発達して積乱雲になりかかっている。

万葉集にはたくさん雲の名がでてくるが、豊旗雲というのがある。万葉人がどんな雲を豊旗雲と詠んだのかはっきりしない。瑞雲、海にたなびくようにかかる雲と思われる。

海神の豊旗雲に入り日さし 今宵の月夜 さやけくありこそ 中大兄

この瑞雲は夕日に赤く染められて、海の上の空を彩ったのであろう。「わた雲は晴の兆し」という俚諺がある。ここのところの異常気象で、こんな諺もあてにならないが、わた雲が出るのは天気は安定しているときに多いという。
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手前味噌

2013年08月27日 | 日記


味噌にはこだわりがある。生家が北海道の農家であったので、味噌は自家製のものしか食べなかった。そのためかこの味噌の味が忘れられず、実家を離れてからどこで食べる味噌も不満であった。実家の味噌づくりは祖母が指揮をとって子供たちが手伝いに駆り出された。自分が担当するのは、煮上がった豆をつぶす機械を回すことだった。丸い口に10個ほどの穴があいていて、そこからウドン状になってすりつぶされた豆が出てくる。これを桶に入れて塩を混ぜ、もの置で2年ほど寝かせる。そこにはきっと麹なども入れたのであろう。

子供の目であるから、味噌作りの詳細は分らない。それでも自分が手伝って作った味噌は、一番うまいものと思い込んでいる。戦後の貧しい食生活でおいしいものを食べた記憶はあまりないが、自家製の味噌でつくる味噌汁だけはいつまでも忘れられない。

ある朝のかなしみゆめのさめぎわに 鼻に入り来し味噌を煮る香よ 啄木

手前味噌とは少々塩辛くとも自家のものが、一番だと自慢する自画自賛の意味である。学校の先生から、「味覚の幅を広げなさい」ということを教わったことがある。経験した食べものだけでなく、広い世間の新しい味に親しめということだが、これは食べものに限らない。人との付き合いにも通じるであろう。そこから閉じていた味や人との関係が広がっていく。

味噌にこだわって色々と試した長い歴史が自分のなかにある。偶然知り合った尾花沢の麹屋さんがつくる味噌がいま食べている味噌だ。この味が故郷の味噌と似ているか、それはもう確かめようもないにだが、記憶のなかにある味噌の雰囲気を持っているのかも知れない。自分で豆を植えて、味噌屋さんに行って作る自家製味噌づくりも広がっている。
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