先日テレビで紹介されたマコモタケ。スーパーの店頭で見かけたのでさっそく買ってみた。休耕田の作付けに注目されているらしい。マコモは沼や川などの水辺で生育するイネ科の多年草で、成長すると人の丈ほどにもなる大型の植物である。近年繁殖している外来種ではなく、古く万葉集にも詠まれている。
ま薦刈る 大野川原の 水隠りに 恋ひ来し妹が 紐解く我れは (巻11・2703)
いつもまこも刈っている大野川原が水に浸って籠っているように、人知れず心の秘めて恋続けてきた恋しい子。いまこそ、その子の着物を結ぶ紐を解くのだ。私は。
万葉集のこんな歌に出会うと、万葉のころ若者が恋人への思いを秘したのは、この共寝の喜びの瞬間を得るまでに、誰にも妨害されたくないように、じって耐えてきたもののように思える。
歌の意はともあれ、このマコモに黒穂菌が寄生すると、新芽が肥大して写真のようになる。これがマコモタケで食用になる。買い求めたスーパーの袋にレシピが記載してある。お勧めレシピには、きんぴら、天ぷら、バター炒め、サラダ。ほかに直火で焼いて食べる方法もある。今晩は、オーブンで皮の上からじっくりと焼き上げて試してみるつもりだ。