菊
2017年10月19日 | 花
寒くなって元気づくのは菊の花だ。朝の冷たい露に頭をもたげると、少ない日差しを愛おしむように花を咲かせる。多くの種類の植物が凋むのを目のあたりにして、「10月の園芸家」は、菊を持ち上げる。
「まだキクは降参しない。きゃしゃで、ほんのりして、まるで白とピンクの泡でできているようだ。舞踏服をつけた少女のように寒がっている。日照がもうわずかになったからかい?うっとうしい霧が息苦しくなったからかい?みぞれまじりの冷たい雨が、しのび足で通り過ぎていくからかい?気にすんじゃない!おまえは咲いていればいいのだ。落ち目になって弱音をはくのは、人間だけだ。キクはへこたれない。」
キクはへこたれないだけではない。その香りは、古来、人間の病気を除き、元気づける役割を果たしてきた。秋の重陽の節句には、酒に菊の花びらを浮かべて飲むのが、邪気を払い、幸運をもたすものと信じられてきた。