ここのところ雨天だったり、予定日に別の行事が入ったりで山行にひと月も遠ざかっている。止むを得ず、近くの千歳山へ散歩に行ったり、ユーチューブの山登り講座で渇を癒している。最近知ったのだが、ユーチューブの講座は、テーマを絞ることによって実に使い勝手がいい。「地図とコンパス」で検索すると、たくさんの動画で、実際のコンパスを使いながら地図を読む方法を教えてくれる。この夏、講師の先生に依頼して講座を開いたが、その復習としてユーチューブの講座は十分に利用できる。なかには、地図をグーグルアースに置き換えなながら、地図の表現をグーグルアースで確認するものまであった。最近話題の中学生棋士・藤井4段の将棋も、ユーチューブで、生中継でなければほとんどが見られる。
ユーチューブの登山講座には、太田先生の「BC穂高登山教室」というのがある。この講座で、目から鱗の話があった。燕岳で出会った92歳のご老人の例を話しながら、「登山には体力は必要としない。気力が80%」という話である。大きな山に登るには、体力が何より必要で、それが無くなってきた時が山の引退の時、と考えていたので、その話を聞いて驚くと同時に、山登りの基本の考え方変えるべきだと感じた。講座には、いかに体力を消耗しないで、上ったり下ったりする方法が、動画で懇切に指導しているものがたくさんある。何故、こんな便利なものを持ちながら、利用しなかったのかと、後悔しながら、今日から講座の内容を取り入れた山歩きの練習を開始した。
千歳山の登山道は、急傾斜を緩和するために、9つの折道をつけ、それぞれ〇合目と表示してある。いままでの登り方では、その表記を気にしながら、ああ7合目にきたから、頂上までもう少しと考えて登るのを、気力の拠りどころにしていた。今朝は違う。教わった足の運びを気にし、視線をできるだけ先に、紅葉した葉がないかと探しながら歩く。時間はほぼ5割増しである。この登り方では、呼吸に乱れはなく、〇合目も意識しないうちに頂上に立っていた。膝を曲げて下ると、滑りや転倒の恐怖心は全くない。この年になってからの勉強では、いささか遅きに失した感はなくもないが、ほんの少し引退の時期を延ばせるのではないか。