昼間に陽がさしたが、気温が低い。3時を過ぎてまた雪が降ってきた。岩波文庫の『古今和歌集』を開き、冬歌をの頁を繰る。紀貫之の「冬のうたとてよめる」という詞書の一首
雪ふれば 冬ごもりせる草も木も 春に知られぬ花ぞさきける
草や木に降り積もった雪を、花とみている。この花は、本来花を咲かせる春が、あずかり知られないものと詠んでいる。それだけ、白い雪がうつくしいと見たのであろう。この感覚は、いまこの里山に降る雪にも同じである。これほどに古い時代に生きた人も、今の時代と変わらぬ感性を持っていたことの証である。