爆弾低気圧が発生して、昨日は強風、そして今日は吹雪のような雪が降ってきた。周りの里山の木々もすっかり葉を落し、いよいよ冬の装いになった。冬になって葉のない木は、その骨格をあらわにし、その樹形をはっきり見ることができるようになる。近所のお寺や神社の木立を見るのが、この季節の楽しみでもある。なかでもケヤキやクスノキ、クヌギなどどっしりとした幹を持ち、樹冠の丸い木を見るのが好きだ。先端部分へ行くほど枝は細く密集し、しかも光を受け入れやすい構造が、自然の美を作りだしている。冬葉がなくなって、あらためて知る木の美しさだ。
フランスの劇作家劇作家ジャン・ジロドゥの戯曲「間奏曲」にこんな木の箴言が出てくる。
「木とは人間の兄弟で、動かないのです。木の話す言葉では、人殺しのことを樵夫といい、死体を運ぶ人のことを炭焼きといい、蚤をキツツキといいます」
木に寿命というものがない。木を枯らすのは、台風や土砂崩れなどのいわゆる災害や酸性雨、害虫などの被害だけだ。環境にさえ問題がなければ、千年でも二千年でも木はずっと生き続ける。