新年会も詩吟のこの新春の集いが最後となる。150名ほどの詩吟の仲間が集ったが、久しぶりに自分の吟詠を仲間の前で披露した。この日のために練習を積んだが、何年吟じても緊張する。満足のいく吟は、いつまで経ってもできないだろう。吟題は、和歌天智天皇「秋の田の」。百人一首の冒頭の歌である。
秋の田のかりほの庵のとまをあらみ
わがころも手は露にぬれつつ 天智天皇
庵は田に作る仮の小屋。なぜ必要かといえば、実った稲を鳥や豬などが、食べに来るので、その見張りのためである。百人一首では、天智天皇の作になっているが、このような労働をしたのか疑問をはさむ声も多い。しかし、稲作は中国から朝鮮半島を経て伝わったものである。稲作の技術を持って渡来してきた人々が、その後日本の支配者になっていったことは確かで、天皇が手ずから田植えや稲刈りをしたとしてもあながち不思議なことではない。