午後になって雪が止み、日が射して来た。見なれた千歳山の雪景色も、幾分とけて春の風情のように感じられる。自然にふれることの多い詩人には、鳥などのわずかな動きのなかに春を感じとる繊細さがある。宋の蘇軾の詩に、「春の江 水暖めば 鴨先づ知る」という一句がある。水のなかにいる鴨は、水の温かさに反応して、その動きが活発になっているのを見逃さない。
水中の鮒は寒があけるころ、巣立ちをする。厳しい寒さの間は、泥のなかでじっとしているが、水が温んでくると、巣を離れ餌を求めて動き出す。彼岸のころには、集団になって泳ぎまわるようになる。釣り人が寒鮒をもとめて、水辺に向かう季節ももうじきである。
山登りの仲間たちは、氷瀑をもとめて、雪深い沢に向かう。瀧山の大滝が溶け出す前に、大きく育った氷瀑を見るチャンスだ。