常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

平家物語

2019年02月13日 | 読書

高校の同級生に、大学で国文学を専攻し、教授になった人がいる。志村有弘氏である。50歳のころであったか、高校のある深川で同級生が集まった。その高校でかって教鞭をとっていた須知徳平氏に話が及んだ。この人が教職のかたわら小説を書き、吉川英治賞を受賞したこと、小説の題名は『春来る鬼』など話題が弾んだ。その作品が映画になったことも知らされた。志村氏ははその時、須知氏と交流があり、深川で医院を開業しながら歌人として活躍した鬼川俊蔵の本を作り、須知氏もその本に一文を寄せている、という話をした。

家に帰ってから志村氏から、『凍れる詩人鬼川俊蔵』という立派な冊子が送られてきた。鬼川医院には、斎藤茂吉の弟が、医師として勤めたり、北原白秋と交流したり、さまざまなことを知れる本であった。志村氏とは手紙をやり取りして、急速に親しくなった。氏が主宰する「かたりべの会」の同人になり、同人誌である「かたりべ」に拙い文を書くようなった。

国文学を研究している志村氏に、日本の古典で読むべきものを聞いてみた。即座に返ってきた答えは、『平家物語』。日本の長い歴史のなかでこれほど面白い物語はない、と強調した。物語のあの出だしは、いまなお諳んじることのできる名調子だ。「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。」その時、買い求めた角川文庫の『平家物語』いまも、本棚の片隅に置いてある。氏の話を聞いて、この本を読み通そうと試みたが、会社勤めのかたわらでは、それも叶わなかった。時間に余裕の出た今、この本を読むのも悪くない。

 

 

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