24節季の雨水が来て、雨になった。雪から雨へ、暦の上で雨の季節となったが、昨今は不思議と現実が暦に一致あする。「春は名のみの」と言う歌があるように、暦は実際より先んじているものと、思い込んでいた。立春に春一番が吹いたり、雨水に雨が降れば、ちょっと気候が変、と思うのは私ばかりだろうか。雨水の初候は「獺祭魚(獺、魚を祭る)」である。この季節になると、獺が魚を獲るようになる。すぐに食べないで川原にならべて置く習性がある、らしい。日本では、獺が絶滅してしまったので、この光景を見ることできないが、岩国の酒造会社の銘柄にその名残をとどめている。
「春水、四沢に満つ」とは、陶淵明の詩だが、この季節には沢の水が、溢れんばかりに流れる。やがて雁の北帰行が見られ、土の上では啓蟄、虫が動き出す。いわゆる、春近し、の季節の到来である。
春を待つ 伊藤 整
ふんはりと雪の積もった山かげから
冬空がきれいに晴れ渡ってゐる。
うっすら寒く
日が暖い。
日向ぼっこするまつ毛の先に
ぽっと春の日の夢が咲く。
しみじみと日の暖かさは身にしむけれど
ま白い雪の山越えて
春の来るのはまだ遠い。