常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

ヴィヨンの妻

2019年02月02日 | 読書

「こぞの雪いま何処」という忘れがたい

詩句を残したのは、15世紀のフランスの

詩人フランソワヴィヨンであることは

先日のブログに書いた。この詩人の生涯

は波乱に富んでいる。父母の生死も知れ

ぬうちに孤児となり、親せきの神父によ

って育てられた。放蕩無頼、という言葉が

ぴったりする生活をしながら詩を書いた。

 

売春婦、ならず者、窃盗団といった輩と

生活をともにし、ついに殺人を犯して逃

亡するというありさまである。

太宰治の「ヴィヨンの妻」は、放蕩な暮

らしを続ける大谷という詩人をヴィヨン

に重ねて、その妻が酒場に生き場所を見つ

けるという筋になっている。この小説を

下敷きにした映画も撮られている。大谷

という詩人は、あくまで太宰その人である

ことを伺わせる。

 

妻の幸子は、酒場で働くという暮らしを

続けながら、自らの不甲斐なさを認めて

謝る大谷に「私たち生きてさえいればい

いのよ」という言葉放つ。

 

 

 

コメント (1)
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