この花に初めて出会ったのはもう20年以上も前のことであろうか。山の会に入って2、3年経ってからであったと思う。高山植物の図鑑を繰ってみると、平成6年6月25日会津朝日岳とメモが残っている。記憶をたどってみると、この山の尾根道の叶の高手というブナの山径であったと思う。登山の案内書には、登山者の行く尾根道をヒメサユリの花が咲き乱れている。今は懐かしい思い出の人であるが、奥山さんがこの花を見つけ、花の前に座って記念の写真を撮った。
ヒメサユリは花の奥ゆかしさからオトメユリとも呼ばれる。飯豊、朝日連峰など東北の亜高山に限定的に分布している。数年前、熱塩温泉に旅行に行ったが、東館山という小高い丘に、移植されたらしい一大群落地があった。車の駐車場も広く、訪れる人も多いが、やはり高山で出会う花には格別の風情がある。しかし、山中では次第にその勢力を失い、絶滅危惧種の仲間入りをしている。
昨日、千歳山に行った人から、「ヒメサユリ」の写メを送ってもらった。そろそろ、この花が咲くころと思っていた矢先であったので、今朝、この花を見に出かけた。以前は、登山道で2、3輪見つけて喜んでいたものだが、去年あたりから急に増えたように思う。大抵、一輪だけの淋しい花だが、突然変異なのか、一本の木に6輪もの花をつけている。貴重な情報を貰って、今年もこの花を見逃さずに出会えた。