常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

ヒユ干し

2019年06月11日 | 農作業

芒種も過ぎて、梅雨寒の畑はスベリヒユの成長が盛んだ。ホウレンソウやシュンギクの畝の間を埋め尽くし、ホウレンソウの畝を占領するような勢いだ。野菜作りには、邪魔なだけの雑草だが、この地方ではこれを食用にする。出始めのものは、二度ほど採ってきて茹で、辛子醤油で食べる。食べず嫌いでほとんど口にすることはなかったが、この年になっておいしく食べられるようになった。色々調べてみると、カリウムや鉄分を含んで、野菜に負けない栄養もあるらしい。

あまりの成長に畑中のヒユを食べ尽くすわけにもいかない。そこで考えられたのがヒユ干しだ。大きく育ったヒユを根を取ってさっと茹で天日に干す。雨模様でなかなか乾燥しないが、大きな笊に広げて風に当てる。陽がさしてくると次第に乾いてヒユ干しが出来上がる。冬になってこれを戻して、煮物にするが、日向の匂いがして懐かしい味である。ゼンマイやワラビの干したものは高級品で、市場で買っても高額だが、ヒユは原価ゼロでこの味が楽しめる。畑の雑草対策と、冬の食料確保と一石二鳥の作業だ。

テレビの県民ショーで、山形が時おり出てくる。ユーモアタレントが自虐的に山形県民は草まで食べる、と喧伝している。ヒユ干しはその最たるもと言えそうだが、そこには長い間、土と格闘してきた農民の知恵が息づいている。

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