常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

良寛

2013年06月03日 | 詩吟


平成25年度の東北地区吟詠大会が、仙台市の市民会館で6月2日に行われた。日本詩吟学院の優秀吟者吟詠大会へ東北の代表を選ぶ大会である。漢詩・和歌・合吟の三部門で競われ、独吟漢詩が6名、和歌が6名、10人合吟は2チームの代表が決定した。私が参加した合吟の部の山形岳風会は選外になったが、山形岳風会の女子チーム、寒河江吟友会の女子チームが代表に選ばれた。

和歌の部で良寛の和歌「このごろ出雲崎にて」の課題を選んだ吟者は19名いたが、そのうち入賞者が3名、努力賞が3名で、和歌の部代表の半数を占めた。良寛の和歌が吟詠の世界でも愛されていることの証左であるだろう。良寛は専門の歌人でもなく、漢詩人でもなかった。だが、良寛の人間性がすべてその歌に読み込まれているから、その歌を読む者の心を捉えずにはおかないのであろう。

たらちねの母がかたみと朝夕に佐渡の島べをうち見つるかも 良寛

良寛の母秀子は、佐渡相川の山本家から、越後出雲崎の名主橘屋の養女となり、新木家の泰雄を養子に向かえ跡継ぎと良寛を産んだ。天明3年43歳で亡くなった母を偲ぶ歌だが、歌はそのまますんなりと読む者の心に入ってくる。

良寛にはこんな歌もある。

草の庵に足さしのべて小山田の山田のかはず聞くがたのしさ 良寛

単純平明であるが、声調には大らかな力がみなぎっている。この歌を何度も口づさんでいると、懐かしい故郷の風景が浮かんでくる。田植が終わった田で、蛙が合唱を始めた。この声を聞きながら良寛の心に触れて見るのも楽しいことである。
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初夏の山形神室

2013年06月01日 | 登山


冬に登った山を季節を変えて登るのはまた興味深い。一面の雪景色であった山形神室が、目に鮮やかな緑におおわれている景色に変化しているのを見ながら、涙が出るような感動に心を揺さぶられる。何回も目にしている光景なのだが、見るたびに新鮮である。考えてみれば年1、2回では季節も違えば気候も違う。同じ光景であるはづがないのだ。

この日、好天と週末がかさなって、多くの人がこの山に足を運んだ。向かいの雁戸に登った人もいるだろうが、二つの駐車場に車があふれ、道路に縦列の駐車が並んだ。これだけ多くの人と山道で交差するのは、ちょっと珍しいことだ。山ガールのカップル、愛犬を連れた家族、小学生を連れた家族連れ、津波のあった宮城の亘理町から来たご夫婦など多彩な顔ぶれである。



登った道を振り返ると蔵王の山頂に残雪が見える。亘理からきたご夫婦は家を流され、仮設住宅に住んでいるという。「毎日歩くのが一番ですよ」といいながら、背負ってきたテント地のリュックサックを見せてくれた。ここは寝袋、この脇のビール、ここに食料と説明してくれる。背にはパイプが施されていて加重を分散させている。



山道で高山の花に会う。アヅマギクの小群落の次は、チゴユリ、シラネアオイとその植物の好む環境で咲いている。花畑の大群落というわけにはいかないが、その花を探したり、物知りの人に花の名を教えて貰うのも興味深い。この時期にここに来るのは、タケノコ狩りがもうひとつの目的である。班を二つに分け、タケノコ班と登山班に分かれる。山形工業高校の山小屋を借りて、タケノコ汁を作る。初夏の初物を満喫する。



チゴユリの可憐な花が好きだ。その次に現われるのがキジムシロ。初夏の山形神室は小さな花が散りばめられた尾根道が懐かしい。この3月に来たときは、切り落ちる尾根道に巨大な雪庇が風の吹く方向へ伸びていた。踏み外さないないように内側にステップを切りながら登ったことを考える。雪のない道では、地形がはっきりと分る。ここから滑落すればやはり大事故になる。

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