常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

蔵王山

2018年02月22日 | 斉藤茂吉


義母が入所しているみはらしの丘から、蔵王の全貌が見渡せる。寒気で新雪が積もり、晴れわたった今日、そのまったけき姿をカメラに収めることができた。義母が入所して3年を過ぎるが、初めてのことだ。刈田から地蔵、これほど美しい姿を見るのは何年ぶりであろうか。地蔵岳の下の方に樹氷らしきものが見える。今年こそ見に、と思っていたが地震警戒で、行くことが叶わない。

萬国の人来たり見よ雲晴るる蔵王の山のその全けきを 斎藤茂吉

昭和25年、蔵王山が「日本観光地百選」(毎日新聞主催)で第1位に選ばれたのを記念して茂吉が詠んだ歌である。いま、この歌は歌碑として蔵王上の台に建てられている。今日、晴れわたった空に、蔵王山を見たとき、思い浮かんだのがこの歌である。

スマホでこの写真を撮って義母に見せた。100歳を迎えようとしている義母にこの景色がどのように見えたのであろうか。施設のドアからは見ることができない。笑ってスマホの画面を撫でていた。施設のスタッフは、「外を見るのが好きなんですよ。春になれば、車椅子を押して、周辺を散策しましょう。」老るということの意味が、たったこれだけの会話で、深く理解することができる。
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笹谷峠 動画

2018年02月21日 | 介護
20180113 29


一月に行った笹谷峠に行ったとき、たまたま撮った動画あまりにきれいだったので、ブログへの貼りこみを勉強した。どうやら成功したが、必要のない別の動画まで出てきてしまう。もっと自在に動画が扱えれば楽しくなるよう気がする。
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風神

2018年02月21日 | 日記


インフルエンザが流行り始めた。定期の診察のため病院を訪れると、風邪の治療のために来ている人も多い。もうこの年で、新年会などの会合などのほかは、人混みのなかに行くことも少ないが、自分にとっての感染機会は病院の待合室のような気がする。インフルエンザワクチンというものを接種したことがない。ワクチンで予防するという発想がない。風邪の菌に打ち勝つ体力を高めるこの方が大切であると思っている。ここ10年の記憶をたどってみても、風邪で寝込んだのは一度ぐらいしかない。

江戸時代の市井では、風邪をもたらすのは風の神であると信じられていたらしい。そのため風邪が流行ると、人々は「風の神送り」というものを行っていた。京都では、疫病神に見立てた藁人形を小さな船に乗せ、鉦や太鼓、三味線などで囃したてながら鴨川に流した。その様子を詠んだ狂詩がある。

「京中一面、春の寒に中てられ、家並みの鼻垂、退けんとするも難し。往往 風の神を送る者あり、吾初めて観る。」

インフルエンザの菌は乾燥を好む。空気が乾いた地域から、猛威を振るいはじめ、学級封鎖や職場の欠勤が増える。できれば、医院へ薬を貰いにいくのも避けたい。
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雨水

2018年02月20日 | 日記


24節季の雨水は、もう少し先と思っていたが、暦を確認すると昨日であった。勘違いするのも当然で、雨が降るどころか、置賜では大雪、こちらでも新雪の雪景色だ。しかし、昨日から春の日差しが室内に入って室温が上がり、日中はエアコンを必要としなくなった。予報によると、東北から北は、あと一週間ほど寒気が残るが、月末にかけて一気に気温が上がるらしい。沖縄地方ではすでに夏日、半袖で戸外を歩く人の姿も見られる。

雨水には雪や氷が融けはじめ、初めて雨が降る季節。桃の花が咲き、鶯が鳴きはじめる。獺祭というものこの季節の言葉だ。獺が獲った魚を岸に並べて置くことで、この時期にこんな行動をとり始めるらしい。獺祭書屋とは、正岡子規が自分の書斎につけた名である。いつも蒲団の上で病と闘った子規であるので、畳に魚のように書物の並べていたのであろう。

今日の詩吟教室で子規の和歌を習った。

夕顔の棚つくらんと思えども秋待ちがてぬ我がいのちかも 子規

死の前年、カリエスの痛苦をおして作った和歌である。夕顔が実をつける半年ほども生きていられぬことを知っていた、痛ましい歌である。
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春の光

2018年02月19日 | 日記


もう止んで欲しいと思った早春の雪。一夜明けるとすっかり雪が止んでいる。雪化粧の山々と澄んだ青空、やわらかな春の光が、雪に耐えた心を癒してくれる。朝、ベランダの障子を開けて、外の風景を見るのが何よりの楽しみになっている。季節は寒さと温かさを交差させながら、雨水に近づている。今朝の青空と同じように、500mスピードスケート金メダリストになった小平奈緒選手の笑顔を見た。人間のこんな曇りのない笑顔を見ることはめったにない。いつまでも脳裏に残しておきたいような笑顔であった。その言葉に「与えられるものは有限、求めるものは無限」。強くなることをどん欲に求めて、厳しい練習に耐えてきたものだけに与えれる勝利であり、その人だけが見せることのできる笑顔だ。

青き空四方に帷す雪間かな 富安 風生
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