ねことわたしのやわらかな日々

17年一緒に暮らした愛猫を亡くしましたが、日々のささやかな幸せを、
手のひらで温めて暮らしています。

後悔の菊

2009年10月16日 17時03分00秒 | 家族
この季節になると、あちこちで菊を見かけるようになり、
そのたびに思うのは、菊作りに丹精していた父のこと。

父は倒れるまで、年がら年中庭で土や菊をいじり、
顔はいつも真っ黒に日焼けして、
ごつごつした手はどれだけ洗っても、いつも爪先には土。
そして誰よりも立派な、菊を咲かせていました。



写真のような、懸崖(けんがい)仕立ての小菊や
顔よりも大きな、見事な大輪の菊、
1本の菊を五重塔に仕立てたものなどを丹精しては、
何度も展示会で金賞を取ったと聞きました。
そしてその菊を、町役場などに寄付していたと。

その頃のわたしは、菊にはあまり興味がなく、
「ふうん、良かったね」と答える程度だったけど。

父が菊を作れなくなった今更になって、
父の菊が無性に見たくてたまらない。
どれだけ見たくても、どこを探しても
父の菊はもう、どこにもない。

どうしてもっと、父が元気なうちに、
誇らしげに、受賞の報告をしてきた時に、
飛んで帰って、見ておかなかったんだろう。
もっとたくさん、写真に撮っておかなかったんだろう。
父の手が、こんなに白く、柔らかになってしまう前に。

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