ネコのミモロのJAPAN TRAVEL (Mimoro the cat:JAPAN TRAVEL)

「京都観光おもてなし大使」のライターとネコのミモロが、京都の情報や暮らし、グルメなどをご紹介。心和む雑誌のようなブログ

詩人、中原中也の故郷、湯田温泉。モダンな建物の「中原中也記念館」で彼の世界に浸るひととき。

2011-11-01 | アート
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津和野から山口県の湯田温泉にやってきたミモロ。その夜にお友達と合流しました。

ミモロを山口の旅に誘ったお友達が、湯田温泉に来た目的は、「第16回中原中也の会大会」に出席するため。

ここ湯田温泉は、詩人、中原中也の故郷なんです。


明治40年(1907)に山口県湯田温泉の医者の家に生まれ、30歳の若さで永眠した天才詩人の中原中也。「サーカス」(『山羊の歌』)など数々の作品を発表。また「ランボオ詩集」なども翻訳し、フランス詩人の紹介にも尽力しました。短い生涯の中で、生まれた数々の作品は、各出版社から刊行され、詩集、全集は、数十冊に及ぶそう。時を経ても、彼の言葉が、今なお、多くの人の心を揺さぶっています。


「中原中也さんのことは、あまり知らないけど…」と言いながら、ミモロも大会の講演会に出席することに。
講師は、作家、劇作家の唐十郎さん。中原中也の作品に影響を受けた若き日の思いなどをお話し下さいました。
熱心に耳を傾ける参加者の方々の年齢もさまざま。幅広いファンが、今も数多く。

講演後、ミモロは、山口県庁にほど近い場所にある国宝の五重塔が聳える「瑠璃光寺」に出掛けます。

ここの五重塔は日本三名塔のひとつで室町中期の建築物。そもそもこの寺は、応永の乱で、足利義満に敗れた大内義弘の菩提を弔うために1442年に建立されました。夜は、ライトアップされて、夜の闇に浮かぶ堂々とした姿は、幻想的。境内には自由に入れます。ぜひ、夜行ってみてください。ちなみに日本三名塔は、ほかに奈良の法隆寺、京都の醍醐寺の塔だそう。「瑠璃光寺」の詳しい情報は、「山口市観光情報サイト」にアクセスしてください。



「ここで何があるの?」と、よくわからずお友達の後を付いてきたミモロ。本堂には、マイクが…。

しばらくして登場したのは、津軽三味線奏者の高橋竹山さん。初代の高橋竹山の内弟子となり、1997年に二代目を襲名。女性らしい繊細さと圧倒的な迫力の両方を備えた奏者です。
本堂に響く津軽三味線の音色は、迫力十分。「津軽じょんがら節」などの吹雪をイメージさせるような激しい三味線の響きが、心に沁みるよう。また歌も素晴らしくミモロも、耳を立てて聞き入っていました。
「素敵な演奏が聴けて幸せー」と感激するミモロです。


さて、翌日、湯田温泉の朝の散歩と朝食を済ませたミモロは、お友達と「中原中也記念館」へと向かいます。

「わーモダンな建物…」とミモロ。

記念館の設計は、全国公開設計競技により優秀賞に選ばれた宮崎浩さんの作品で、平成10年に公共建築100選にも選ばれました。ゆっくりと展示物が見てまわれるよう回遊性の空間構成で、中也の世界に十分に浸れるようになっています。

ここは、中原中也の誕生の場所でもあります。

館内には、中原中也の草稿、日記、書簡などの資料をはじめ、彼の生前の姿が思う浮かぶような遺品なども多数展示されています。

「中原中也のことは、教科書などでご存じの方も多いはず。ぜひ山口にいらしたら、彼の世界がよくわかる、この記念館にいらしてくださいね」と、館長の中原豊さん。
ちなみに館長の中原さんと中原中也との血縁関係はないそう。でも記念館の館長さんが、同じ名前って、素敵な偶然ですね。

1階の入口脇には、詩集などが並ぶショップが。

「これなぁに?」とミモロが見ているのは、中原中也が愛用したノートを味わいそのままに作った復刻ノート。「これを使うと、いい詩が書けるかなぁー」

ショップには、中也のトレードマークでもある帽子の復刻版も。
「中也さんと同じ…」と詩人を気取るミモロです。でもちょっと大き過ぎるよう。

「あ、これならちょうどいいサイズかも…」ミモロは帽子を象った器を見つけました。
「うーダメだぁー、大きさはいいけど、重いよー」

記念館の帰り道、何やらミモロがつぶやきながら歩いています。耳を澄ませると
「…汚れちまった悲しみに、今日も小雪が降りかかる…ルンルン」と・・・。
中也の詩の一節だけ、覚えたよう・・・。
でもミモロがいうと、なんか楽しそうな詩に…。

中原中也記念館の詳しい情報は、ホームページをご覧ください。

*旅のポイント:中原中也の故郷でキツネのオブジェがいっぱいある湯田温泉は、実は、山口の町の近く。湯田温泉に宿泊して温泉を楽しみ、山口市内の史跡などを巡る旅がおすすめです。山口は、「西の京」と言われ、室町時代には、この地域を納めた大内氏により繁栄を極め、それにまつわる史跡もいろいろ。またザビエルが、最初に布教活動を行ったのも山口で、日本のクリスマス発祥の地とされる「山口ザビエル記念聖堂」や、山口県に縁の深い雪舟などのコレクションを所蔵する「山口県立美術館」など、見どころも。九州に行く人も、ぜひ途中下車をしてみてください。

明日は、いよいよ萩の旅をリポートします。
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