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「狂言」を初めて鑑賞したミモロ。楽屋も見学させていただき、その美しい衣装に、とても興味を抱たよう。
「あんな美しい衣装の布は、どうやって作るんだろ?」ミモロは、知りたくてたまりません。そんな折…
能衣装を製作するお店を、知り合いから紹介していただくことに…。
「わー嬉しい!」とミモロは、さっそく出かけます。
そのお店は、能装束・仕舞袴など、能、仕舞、狂言などの衣装を手がける『佐々木能衣装』です。

百有余年の創業以来、桃山時代から続く能衣装づくりの技の流れを、今も受け継ぎ、西陣織の優れた技と経験で、現在の能や狂言の舞台を支えるお店です。
京都御所の南側にある風情ある構え。

さすが歴史あるお店。ミモロは、ちょっと緊張気味。ドキドキしながら門をくぐります。

「あのー、ご紹介をいただいて伺ったミモロと申します」お玄関で声をかけると、中から
「あ、ミモロさまですね。お待ちしてました。どうぞ、お上がりください」と笑顔が素敵な方が迎えてくれました。「今日は、いろいろ見学させてくださいーよろしくお願いします」。「はい、わかりました」と。

商品が飾ってあるお店と違い、ここでは、お客様の要望を伺い、それに合ったものだけを奥から運んで見せてくださいます。ミモロは、狂言の衣装を拝見することに。

キラキラと輝く錦糸を使った豪華な織物やオシャレなストライプの生地など、色の組み合わせの美しさやさまざまな図柄の見事さに、ただ見惚れるミモロです。

狂言の装束には、色や柄、コーディネートなどにいろいろな約束事があります。登場人物の役柄を示すのも衣装の重要な役割。例えば、太郎冠者など庶民は、格子柄の着物に丈が足の長さ分の半袴に、肩衣(かたぎぬ)のコーディネーション。裾を引きずる長袴に同じ柄の肩衣を付けると主人の姿に。また「忠臣蔵」で浅野内匠頭が、松の廊下で着ているような衣装を纏うのは大名などなど。武家の衣装の様式に由来していても、華やかで美しく、雅な印象さえ受けます。
京都は、武家と公家の両方が共存した場所。そこの文化も、武家文化と町民文化の主体の江戸など、ほかの地域にはない、独特のものがあるようです。
文様の意匠には、龍、鶴などの吉祥文のほか、稲妻、雲など、その役柄を示したりいろいろ。文様の途中から色をぼかしのように変化させたり、匠の技が随所に施されている、素晴らしい織物です。
「わースゴイ!刺繍でできていると思ってたー。これも織物なんだってー信じられない!」

「あれ?なんか普通の着物の反物と違う感じ…」とミモロ。

「よかったら、織りをやっているところも見ますか?」とお店の方。「ハイ!よろしくお願いします」。ミモロは、喜び勇んで、お店の方の後に続きます。
織りを行っているのは、店の奥。近づくと、中からガタン、ガチャンと大きな音が聞こえます。
木造の仕事場には、絹糸を巻く糸巻が、勢いよく回っています。

天井から吊るされたような機織りの前で、黙々と作業をする職人さん。

機織りの機械は、機械といっても、その多くの部分が木製。滑車や歯車などに糸を渡し、それによって動くもの。

動力は、職人さんの足の力。「だから、すごくエコなんですよー。機械と言っても、電力を消費していないので、もし停電になっても動きますよ(笑)」。これってスゴイこと!「どうなってるんだろ?」機織りに近づいて、覗きこんでも、あまりの複雑さに、驚くだけのミモロです。。
作業場の奥では、縦糸などの織る前の準備作業が行われます。

「なんかお素麺みたい…」とミモロ。お素麺とは比べようもないほど、長く細い糸を、一本ずつ丁寧に張ってゆく作業が続きます。
それを機織りの機械へとセットします。

「わー、どうなってるのか、全くわからないー」何千とも思われる細い糸が、セットされた機織り。
模様によって使い分けられる色の糸も、糸巻に用意されます。

織りの作業は、まさに根気と熟練の技からなせるもの。

職人さんが作業中、見ているのは、実は、布の裏側です。紋様が、ちゃんと織られているかは、裏側に手鏡を差し入れて確認します。

「スゴーイ!あまりに凄すぎて、言葉が出ない…モグモグ…」
すべてが、長年の経験と磨かれた技によるもの。これほどの技術は、世界中探しても見つからないことでしょう。日本の誇るべき技。「こんな素晴らしい技術を、日本人は持っているんだぞ!」と、京都の中心から世界に叫びたい気分です。
