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最近、京都祇園の「津田楼」で開催されている文化サロンのひとつ、「古筆(こひつ)」教室に通い始めたミモロ。(その様子は、10月4日、5日のブログにアップされています。)
「やっぱりいい仮名書を書くためには、いいお道具が必要だよねぇー」と、良質の墨を求めて、墨の本場、奈良まで買いに出かけることに。
向かったのは、奈良の三条通にある奈良墨と奈良筆、紙、硯など、書道の用具一式を揃えた「一心堂」です。
「一心堂」は、大正時代の創業。奈良伝統の筆、墨の製作・販売を行ってきたお店です。
JR奈良駅から猿沢の池方向に続く三条通。新しいお店が並ぶ中で、ひときわ目立つ古い趣漂う構え。店にかかる大きな木製の看板は、日本書芸院の設立や関西書壇の発展に力を注いだ、大正から昭和に活躍した奈良県出身の書家 辻本史邑(つじもとしゆう)氏の手によるもの。看板となる木に、直接、筆で描いた書を、看板に加工したものだそう。
書家の榊莫算山先生も、このお店の品を愛用なさっていたんです。
「きっとここなら、古筆が上手に書けるようになる墨があるねぇ」と言いながら、お店の中に。
店内の一角に、ずらりと並ぶ硯。
店の奥の棚には、天井まで筆が入った箱が積まれています。
筆は、さまざまな書に対応するため、約300種類が揃えられているそう。さらにオーダーでも、自分好みの筆を作ることができます。
「わーいろんな種類の筆があるんだねぇー」と、種類の多さにミモロもビックリ。
超初心者のミモロの腕では、扱えないような筆も…。
店内に並ぶ、いろいろな書道具を、見て回るミモロです。
墨の数も、約100種類。「墨って、こんなに種類があると思わなかったー」
値段の幅も大きく、どれを選んだらいいか、ミモロは途方に暮れた様子。
「何かお探しですか?」と、このお店の方が、声をかけてくれました。
「あのー仮名文字が、上手に書ける墨をください!」と、ミモロ。
「はい、仮名文字を書くのに適した墨ですね。そうですねぇー。
細い線や流れるようなしなやかな線、太い細いのメリハリなどが、美しさをもたらす仮名書には、細い筆の含みもよく、紙にもよく馴染む、粒子が細かい菜種油か、ゴマ油の煤を使ったものが、おすすめです」とお店の方のアドバイス。
そもそも墨は、煤(すす)と膠(にかわ)と少量の香料を練り合わせて作ります。その起源は、約3500年前の中国とか。唐の時代に現在の墨の原形ができ、日本にも伝来します。正倉院にも、その時代に伝わった墨が、宝蔵されているそう。墨、筆などを作る技法が伝わった奈良は、それから今日まで、日本を代表する産地に。
菜種油やゴマ油を使ったもの、松脂を燃やしたもの、また軽油や重油など鉱物油の煤で作られたものなど、墨の種類は、原料となる煤の種類で分かれます。さらに原料により、墨の色味も微妙に異なるそう。漢字や大きな書に適した墨など、書く文字によって、墨も使い分けると、美しく見えるそうです。
墨の値段も幅広く、500円くらいから、1万円を超えるものまで、さまざま。
「わー、菜種油やゴマ油の墨って、高価…どうしよう…」と、ちょっと考え込むミモロです。
「でも、仮名書で、使う墨は、それほど多くないから、あんまり減らないかも…。きっと1本買えば、ずーっと使えるね」と、ミモロは、思い切って、高級墨のひとつ、ゴマ油の墨を購入することに。
「これで全部、仮名書を練習する準備は完了!やったー」と、習うために揃えた硯、筆、紙、そして墨を前に、達成感に浸るミモロです。
あのね。ミモロ、お道具を揃えて、それで終わりじゃないのよ。わかってる?
「うーん、わかってるってばぁー。いいお道具を使えると思うと、練習も楽しくなるでしょ、まずはいい環境を整えることから…」と、嬉しそうに、揃えた品々をしばし眺めるミモロです。
あれ、さっそく練習を始めるのかと思ったら…「すごくいいものばかりで使うのもったいなくなっちゃったー。今日のところは、しまっとこー」と、大切そうに棚へ。
いくら高級な道具でも、練習しないで上達する、そんな魔法の道具ではないんだから…。
ミモロの仮名書の上達は、一体、いつのことやら…。
*「一心堂」の詳しい情報は、ホームページで。奈良市上三条町3-9 電話0742-27-3261 筆や墨は、インターネットでも注文できます。