織物の町、京都西陣の千両ヶ辻にあるフォトギャラリーは、京都の美しい風景を長年、撮りつづける写真家、水野克比古先生の作品が鑑賞できる場所。
細い路地をあちこち曲がり、何度も通行人に道を聞きながら、ミモロはやっと到着しました。
「ここだぁーやっと見つけたー」。レトロな趣の住所表示板が、格子の横に。
「京都の写真といえば、水野克比古先生!」と、出版業界では、超有名な写真家の水野先生。
京都のさまざまな表情をとらえた作品は、広告やカタログ、カレンダー、絵はがきをはじめ、多くの媒体に登場。きっと目にしたこともあるはずです。
その先生の作品が、ゆっくりと見られるのが、この「町家写真館」です。
ギャラリーになっているのは、明治時代に建てられた町家で、京都の風情満点。見学するには、予約が必要なので、あらかじめ連絡したミモロは、胸をときめかせて出掛けました。
「こんにちはーお邪魔しまーす」。もちろん中も、京都らしい趣がいっぱい。
「あ、ミモロさんですね。どうぞゆっくり写真を見て行ってくださいね」と、迎えてくださったのは、
水野克比古先生と義理の息子さんで写真家の秀比古さん。
「はーい、見せていただきまーす」というと、アンティークの家具によじ登ります。そんなことしちゃ…
「だって見えないんだもん…」
ミモロが見たかったのは、京都の有名な寺社仏閣を四季折々の花々と共に案内する『京都名所百景』(光村推古書院刊1600円)という最新の写真集です。
美しい四季の景色が次々に現れる写真集は、見ているだけで、そこの匂いや音、光が感じられるもの。
「あ、親切に、アクセスも掲載されてる…まるでガイドブックみたい…」
英語での併記もあり、海外の方にもプレゼントしたくなります。
お座敷には、大きなパネルの写真がいろいろ。
東福寺の紅葉のパノラマ写真。まるでミモロは、そこにいるみたい…。
大きさがピッタリだったようです。
奥行のある京都の町家。建築を見る楽しみも。
好きな写真集を、お座敷でゆっくり鑑賞します。
時が立つのも忘れるひとときです。
しばらくして、「あれ、ここはお台所?」とミモロは、座敷の脇を覗きます。
「ちょっと行ってみようー」そこにあった下駄をはいて、土間へ。
ここは、薪のかまどや水場などがある、昔の暮らしがそのまま残る京都らしい台所です。「よいしょ…」京都の台所は、縦長で、玄関脇から中庭へと続きます。吹き抜けになった天井には、天窓があり、外光が入るようになっています。「でも冬は、きっと寒かったよねぇー」とミモロ。
京都の町家は、トイレもお風呂も母屋から離れたところにあるのが一般的。冬の寒さはこたえます。
「でも町家は、夏は、クーラーいらず。中庭から表へとスーッと風が吹き抜けて、本当に涼しくて過ごしやすいですよ。確かに、冬は、すごく寒い。エアコンも、ストーブもきかない。隙間だらけですからね。だから炬燵は必需品ですね」と水野先生。
ミモロの暮らすのはマンション。「夏は、すごーく暑かったんです。家にいて熱中症になりかけました。冬?うーやっぱり寒いでーす」と。「きっと京都に暮らすと、いつか町家に住みたくなりますよ。それから、京都に住むなら、一か所じゃなくて、いろいろな場所に住むと面白いですよ。地域ごとにかなり感じが違うのが京都の町、岡崎と西陣じゃ、町の雰囲気も全然違うでしょ?」「なるほど…」と、先生のお話に頷くミモロです。
「こっちはお庭?」トコトコと廊下の方へ。
風情のある庭を廊下から眺めるミモロです。
「絵はがきもいろいろあるんだぁー」と、廊下にあったディスプレーに。なにもそこまで近づかなくても…
先生のお話を伺ったり、作品を鑑賞したり、町家を歩き回ったり…あっという間に時間が流れた楽しいひととき。「また来てもいいですか?」とミモロ。「ぜひお雛祭りにいらっしゃい…」と水野先生。「ハーイ」とお返事してお別れしました。
水野先生は、京都生まれの京都育ち。この西陣は、幼いころからの遊び場です。
地元の活性化イベントなどにも参加している水野ファミリー。「町家写真館」がある千両ヶ辻界隈の町家で、創作着物や創作箔画、植物染料染めの小物などを展示する「西陣 美の辻」というイベントを、春と秋に開催しています。秋には、「千両ヶ辻 伝統文化祭」にも参加。
また2月下旬から3月上旬にかけて、「西陣の町家で雛祭り」も開催。水野克比古、秀比古両氏の作品展と共に、江戸時代から昭和の雛人形と雛道具が「町家写真館」のお座敷を飾ります。この期間は、予約不要。
京都観光協会の「京の冬の旅 キャンペーンイベント」でも「京都西陣 千両ヶ辻ウォーキングと北野天満宮「梅園」」というプラン(要予約)を実施しています。詳しくは、京都観光協会のホームページで。
*「町家写真館」京都市上京区大宮通元誓願寺下ル 電話075-431-5500 イベント開催時期を除き、見学は、予約が必要です。
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