紫野の「今宮神社」を参拝したミモロ。
「さぁ、参拝してお腹空いちゃったから、ちょっとお休みしてゆこう…」と境内の東門を抜けて参道へと進みます。
東門の両脇には、古い趣そのままの2軒のお茶店が。南側は、創業400年と言われる「かざりや」。そして北側は、創業なんと長保2年(1000)といわれる「一文字屋和助」通称「いち和(いちわ)」です。
「そうそう、実はこの景色が見たかったのー」というミモロ。
時代劇ファンならご存知だと思いますが、ここは、池波正太郎作のテレビ時代劇「鬼平犯科帳」シリーズで最後のタイトルバックに登場する場所です。
「あのータイトルバック大好きなのー」と、ミモロは、「鬼平犯科帳」を見ると、絶対に最後までじっと見つめています。そこには、江戸の四季をテーマに、さまざまな江戸情緒が登場するのですが、実は、ほとんどが京都の有名な観光名所で撮影されているのです。
たぶん春の花見のシーンに登場するのが、「仁和寺」の御室桜と滋賀県の近江八幡。夏の場面に登場するのが、「今宮神社」の参道の2軒の茶店。そして秋は、京都の「東福寺」です。
「創業400年でもスゴイのに、えー1000年以上もやってるのー!」と驚くミモロ。
ちなみに長保2年(1000)は、藤原道長の娘、彰子が一条天皇の中宮となった時代です。
この2軒が作るのは、あぶり餅のみ。メニューは、他にありません。
ミモロは、「いち和」さんの方を覗くことに…。
店先では、細い竹串にさした小さなお餅を炭火であぶっています。
「うーたまらない…この香ばしいかおり…」
ちょっと焦げた感じがいいんです…。
そもそもあぶり餅は、「今宮神社」が創建された平安時代(994年)ごろに、京都の町には疫病が大流行。その厄をもらわないために食べたのが、始まりと言われます。つまり厄除けの餅で、当時から「今宮神社」に参拝した帰りに、人々が食べた、昔ながらのお餅ということに。
さっそくミモロは、店先の縁台に。
「あのーあぶり餅くださーい!」とお店の方にお願いします。
注文されてから、あぶられるお餅。だからいつもアツアツのあぶり立てに…。
待ちきれず、じっとしていられないミモロは、お店の中を歩き回ります。
背伸びして覗く先には、きな粉がはいった平らな入れ物なども。
店先に置かれた木箱。
その中には、きな粉をまぶされたお餅が、炭であぶられるのを待っています。
「このお餅を焼くんだー」
さらに店の奥に進むと、地下に降りる古い階段があります。「ここなんだろ?」暗い階段を慎重に後ろ向きで下へ。
そこにあったのは、井戸。
お店ができた当時から決して水が枯れたことがないという井戸です。
「昔は、このお水でお餅を作ったり、お茶を沸かしたりしたんだって…」
昔使われたお釜が今も店の一角で、当時の様子を留めています。
「もうすぐできるかなぁー」とミモロは、お餅があぶられているところへ。
「これ、ミモロのお餅かな?」とじっと見つめます。「はい、もうすぐできますよー」
茶店の縁台に戻ると、ミモロの前にあぶりたてのお餅が。
「わー美味しそう…」今にもヨダレがこぼれそうに…。
秘伝の白味噌だれをたっぷりつけたあぶり餅。ほんのり甘い味噌だれがきな粉の風味を引き出し、ちょっぴり焦げた部分の香ばしさと共に、口の中に美味しさが広がります。
「ちっちゃいから、食べやすい…パクリ」。
ミモロは、次々に竹串のあぶり餅を口へ。
1人前15本で500円。お店では、お茶のもてなしも。
あっという間に、15本を平らげたミモロ。「神様に美味しいものがたくさん食べられますようにってお願いしたご利益だねー」と嬉しそう。
京都らしい風情もたっぷり味わえる、おすすめの場所のひとつです。
*「いち和」京都市北区紫野今宮町 今宮神社東門参道北側 電話075-492-6802 10:00~17:00 水曜休み 1人前15本500円
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