京都から車で2時間で到着する福井県小浜。観光案内所で教えて頂いた、見どころのひとつが仏像拝観。
福井県は、実は、平安時代、鎌倉時代の仏像が数多く残っている地域です。
古くから仏像や建物をつくる優れた技術を備えた渡来人が多く、この地にいたとか。奈良とのつながりも深く、東大寺二月堂の「お水取り」の由来となるものも、この地域にあるそう。
小浜にあるお寺の中で、ミモロが行ってみたいと、まず思ったのが「妙楽寺」。
小浜の市街地から、南側の山の麓にある古刹です。
さて、この「妙楽寺」は、奈良時代の養老3年(719)に僧行基が若狭巡行の時に、この山に登り、千手千眼の霊像を刻んで岩窟に安置したことから始まったとか。その後、弘法大師が伽藍の建立したと伝えられ、高野山真言宗のお寺です。
「ここには、すごく立派な千手観音さまがいらっしゃるんだってー」ミモロは、その仏像に興味を抱いたよう。
「とても静かな場所にあるんだねぇー。日曜日なのに誰もいない…」
ひと気のない静まり返った参道を奥へと進みます。
山門には、色鮮やかな体をした仁王像が睨みをきかせています。
「なかなか鍛えられた腹筋…」とミモロは、思わずお腹をひっこめます。でも…
昨日、たらふく食べたカニで、お腹はいつもよりさらに膨らんでいる感じ…。
杉の大木が聳え、澄んだ冷たい空気が立ち込める中を、奥へ奥へと進みます。
「ここって、若狭の観音霊場なんでしょ…うーそんな感じがする…」
「あのーお詣りさせていただきたいんですが…」と、お寺の受付を訪れると、「どうぞゆっくりご参拝ください。仏像は、本堂の中にありますから、扉を開けて入って見てください…」と。だれもいない静寂に包まれた境内。
境内の奥に、ひっそりと建つ本堂へ。
仏像に造詣の深い、白洲正子もかつて若狭を訪れ、さまざまな寺社仏閣に心惹かれるさまを「若狭紀行」(「探訪日本の古寺5」1981年3月・小学館)で著しています。この寺には、彼女も訪れ、その著作の中で、
「…本堂は、鎌倉時代の優雅な建築で、緑したたる木々にかこまれて。千年の眠りの中に鎮まっている。…」と、描写しているのが、この本堂で、若狭における最古の建造物です。
さて、大きな木の扉を開けると、中は真っ暗…。でも中に入ると自動的に照明が付き、本堂の中央に立つ「木造千手観音立像」が、金色に浮かびあがります。
(内部は、撮影禁止のため、ミモロが見ているパンフレットで…)
「わーこれが平安時代に作られた観音さま…」と、その立派な姿にじっと見惚れるミモロです。
重要文化財のこの像は、高さ176・3センチという等身大の大きさ。正面、側面、そして頭上に全部で24面のお顔を持つ、非常に珍しい千手観音なのだとか。
しかも、驚くのは、この像が、檜の一木造りだということ。
また、「わー迫力があるー」と、ミモロがちょっと後ずさりしたのが、やはり平安時代作といわれる「木造不動明王座像」です。まるで洞窟の中にいるように、像の周りには、木材を岩に見立てた祠が。
「こんな素晴らしい仏像を、すぐ近くで、ゆっくり見られるなんて、信じられない…」とミモロ。確かに、京都や奈良などのお寺で拝見するより、身近に見られます。しかも、人がだれもいない静寂の中で…。
小浜だけでも10か所を越す古刹があり、仏像ファンには、見逃せないものばかり。
ぜひ、京都から足を伸ばして、小浜へ。
*「妙楽寺」小浜市野代28-1 電話0770-56-0133 拝観時間:9:00~17:00 拝観料400円 小浜の仏像や交通などの情報は、「若狭おばま観光協会」のホームページで。
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