
久しぶりの『本』のアップが、
このおどろおどろしい表紙というのもなぁ・・・


と思いつつ・・・、
『覘き小平次』京極夏彦/角川文庫。
『姑獲鳥の夏』(うぶめのなつ)の映画化したものを
WOWOWで観て、江戸川乱歩、横溝正史、夢野久作・・・
大正・昭和初期の怪奇小説好きだった私は
ほとんど郷愁のようなものを感じました。
・・・が、ストーリーは毒が強くて、
「いや、そう感じるのは受け手の老いか?」と
思ったりも。
面白さを感じたのは京極堂のセリフやなんかで、
原作者の他の本を読みたくなりました。
『覘き小平次』は、そう聞いたオットさんが
ついでの折、ブックオフで買って来てくれたもの。
好みからすると、時代背景が時代を遡りすぎで、
なじみにくかったのですが・・・
反面、登場人物ごとに区切った章が読みやすく、
すこしずつ「わかってくる事」があって、
つられて、ついついイッキに読み終えました。
主人公はじめ、尋常でない登場人物。
でも、どこか一人ひとりに共感するところがある。
暗い話だけれど、すくいがないわけでもない。
結末は、おだやかに落ち着くべきところに落ち着いた、かな。
主人公の心根の優しさがジンワリします。
考えると、実生活の方が
「そんなうまくは、まとまらない。」という点で
はるかに、こわい世界なのかもしれません。